子も子なら、親もまた親
ソルトが言った通り、今回の、アルカディアの対応は、諸国に、大きな印象を、与えた様だ。
アルカディアは、義に厚い国……。
難民と成っていた、一部の、ザンギバールの民も、アルカディアに、移住する事と成る。
その結果、ニッサ村の人口は、大きく増える事と成った。
二百名から、三百名以上に。
治安悪化を、不安視していたが、ハラ婆さんを中心に、移住者達を、手厚くもてなし。それに応える様に、移住者達も、昔からの住民達と手を取り合い、ニッサ村を、発展させる。
俺は、今日も、新しい住民の為に、野を耕し、家を作り、手伝いをする。
勇者が、率先して、野を耕し、自分達の家を作ってくれる事に、新しい住民達は、驚いている様だ。
バスラー孤児院の子達も、一生懸命、手伝ってくれる。
自然と、仲間意識が、芽生えて来る。
今日も、一生懸命働き、ニルの酒場で、バカ騒ぎ。
もう、俺達に、新しいも、古いも無い。
ゲルメルなんて、来た客達と肩を組んで、大酒を飲み、陽気に歌っている。
楽しいなぁ……。
このまま、ニッサ村は、益々、栄える事と成るのだろうなぁ……。
「どうか、我が子の為に、いくばくかの、施しを下さい!」
悲壮感を漂わせ、村の中で、道行く人々に、施しを求めているのは、エレズの母だ。
我が子を、鉱山から救う為に、金を集めているのだろう。
仲間殺しのエレズ……。
その噂は、この村にまで、届いている。
可哀そうな話だが、狂ったエレズを見た俺達は、どうしても、手を差し伸べる事が出来ない。
それでも、ベルトラムは、エレズの事を、どこかで、まだ、救いたいと思ったのだろう。エレズの母に、まとまったお金を渡す。
「おばさんよう……。残念だけど、エレズを救うには、この村だけでは、どうする事も出来ない。覚悟があるなら、そのお金で、王都に行って、頑張るしかねえよ……」
「ふん!裏切り者のあんたに、施しは受けないよ!誰か!あの子を救う為に、いくばくかの施しを下さい!あの子は、この村の為に、必死に戦ったのです!どうか、ご慈悲を!」
エレズの母も、また母か……。
ベルトラムの優しさが、分からないのか……。
俺は、ベルトラムの、肩を叩く。
「行こう……。あの母が、エレズを、駄目にしたんだ……。ベルトラムが、責任を、感じる必要は無い」
「ああ……。エレズの家族は、来週には、この村を、去るんだってよ……。エレズが、勇者の真理を授かって。随分、威張っていたからなぁ……。村人達に、嫌われちまっている……」
「因果応報……。仕方の無い事さ……」
「今なら分かる。俺の親父達は、威張り散らしていた俺を諫め。俺に代わって、村人達に、謝っていたよ……。そんな、親父達の事を、俺は、腰抜けだと思っていた……。だけど、本当は、強かったんだなぁ……」
「それが、分ったと言う事は、ベルトラムが、強くなった証拠だ。両親を、大切にしろよ?」
「ああ……。大切にする!俺も、他人の為に、命を懸けられる、強い人間に、成って見せる!」
「ははは!その意気だ!丁度、親父さんが、呼んでいるぞ!しっかり、親孝行してやりな」
「ああ!そう言えば、親父達が、一度、ジャショウと、食事が食べたいってさ。今度、家に、遊びに来てくれよ」
「ああ、必ず、行かせてもらう。ベルトラムのお袋さんの料理、楽しみにしていると、伝えてくれ」
「ははは!お袋、喜ぶぞ!」
ベルトラムは、元気よく、親父さんの下へ、走って行った。
さて、俺も、仕事に戻るか……。
冬までには、新しい住民の、家が、完成するだろう。
そしたら、約束通り、ベルトラムの家に、遊びに行くかなぁ……?




