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天翔雲流  作者: NOISE
混沌の中で咲く、一輪の花
1611/1794

人として……!

 アルカディアの使者が、青白い顔で、ニッサ村に立ち寄る。

 俺とハラ婆さんの所に来て、

「ジャショウ様の、読み通りです。奴等は、魔巣を、壊すつもりの様です。インスモーンの惨劇を話し、何度も諫めたのですが……。鼻で笑われ、何時までも、アルカディアの世話に成らぬと、追い払われてしまいました」

「そうですか……。どうやら、ザンギバールは、意地に成っているようですね……。壁の高さを、低くし。急ピッチで、建設を、終わらせたようです。兵が、動き出しました」

「何ですと!?我等の忠告が、仇と成ってしまったと言うのか?私は急ぎ、アルゴスへと戻り、国王陛下に、援軍を要請します!どうか、ジャショウ様!それまでの間は、我等に代わって、この村を、お守り下さい!!」

「分かっております!使者殿は急ぎ、アルゴスへと向かって下さい!」

 使者達が急ぎ、アルゴスへと向かう!

 さて、ここからが正念場だ!

 使者の早馬で、アルゴスまで、六日間。

 そして、それから、軍が、ここまで来るのに、どんなに早くとも、十五日はかかろう。

 ザンギバールが、魔巣と衝突するのは、使者と同じ、六日後……。

 妖魔が溢れ、ここまで、押し寄せて来るまでに、さらに五日か……。

 何とか、十日間、守り切って見せるぞ……!



 全ては、俺の予想通り……。

 予想通りが故に、絶望的状況……!

 ザンギバールで、多くの命が、消えて逝く。

 溢れ返る妖魔……!

 ハラ婆さんは、アデナと共に、結界を強化する。

 これで少しは、時間を稼げるだろう。

 結界が、ニッサ村を守る事で、妖魔達の矛先が、ザンギバールに向けられる。

 命が……。

 命が消えて逝く……!

 妖魔が、ザンギバールを蹂躙し、八日間が過ぎた。

 遂に、矛先が、ニッサ村に、向けられる!

 度重なる、猛攻に、ハラ婆さん達の結界が、ついには、破られる!

 迫りくる、妖魔の軍勢!

 俺は、咆哮を上げる!!

「ベルトラム!俺が、前線で暴れる!!お前が、ヤファ達と共に、この村を守るんだ!!」

 全ては一瞬……!

 俺は、全てを薙ぎ払い、君臨する!!

 戦い、戦い!戦い抜いて!!

 一匹の妖魔も、ニッサ村に、寄せ付けない!

 俺は、この世界でも、鬼神として、君臨するのだ!!

 全てを、喰らいつくす事は可能だ。

 全てを、破壊しつくす事も可能だ。

 魔巣を、浄化する事とて、可能な事だ。

 しかし!

 俺は、人として、この世界で、生きねばならぬ!!

 悔しいが!

 もどかしいが!

 それが、今の、俺だ!!

 俺は、人として、戦い、戦い!戦い抜いて、咆哮を上げる!!

 何体もの妖魔が、俺から逃げ延び、ニッサ村を襲う!

 しかし、俺は、一人じゃ無い!!

 ベルトラムが!

 ヤファが!

 アデナが居る!!

 彼等もまた、鬼神の如き働きで、妖魔達を、駆逐してゆく!!

 丸々一日、俺達は、戦い続けた。

 ハラ婆さんが、再び、結界を張った様だ。

 最後の一匹を倒し、俺は、悠然と、ニッサ村に凱旋する!

 歓声が上がる!

 後六日……。

 何とか、持ちこたえて見せるぞ……!


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