成長
俺達は、馬車に乗り、ただひたすらに、ニッサ村を目指す。
確かに、この一か月の成果は、顕著に表れていた。
徘徊する、妖魔の姿が少ない。
俺達の進路を、邪魔する者は居なく。七日間、馬車に揺られ、ニッサ村へと、到着した。
俺達は、急ぎ、ハラ婆さんの下へ!
村人達が、全員、広場に集まっていた。
俺は、ハラ婆さんと、顔を見合わせ、大きく頷く。
俺が、口を開こうとした時、ベルトラムが、神妙な顔で、前に出る。
一同の顔を見回し、膝をつき、
「ハラ婆さん!そして皆!俺は今まで、自分の行動で、周りに、どれだけ迷惑をかけていたか、考えもしなかった!許してくれとは言わない!それでも!すみませんでした!!俺は、ジャショウ達のお陰で、漸く分かった!村の皆に、守られていた事!助けられていた事を!今度は、俺が、ジャショウ達と共に戦い、皆を守る!命を賭けて、守って見せる!本当に、すみませんでした!!」
一同が、目を見開く。
プライドの高い、ベルトラムが!
粗暴で、決して、頭を下げなかった、ベルトラムが!
涙を流し、膝をつき、首を垂れている!
ハラ婆さんが、大きく頷く。
「ベルトラム……。お主は、強くなったのじゃのう……。心から、頼りにしておるぞ」
ニルが、満面の笑顔で、ベルトラムを、立たせる。
「まったく!調子が狂っちまうよ!あんた、ハラ婆さんの言う通り、強くなったんだねぇ!しっかり、私達を、守っておくれ!」
他の村人達も、笑顔で、ベルトラム達を、応援する。
涙を流し、何度も頷く、ベルトラム。
ニルが、俺の方を見て、にっこり笑う。
「あんたは、大した男だよ!エレズの坊やは、駄目だった様だが……。あんたが、代わりに、守ってくれるんだろう?この村にまで、あんたの雄姿が、聞こえて来ていたよ!」
「ははは……。ベルトラム達のお陰です!俺も、ベルトラムの言った通り、命懸けで、この村の人達を、守りたいと思います!」
「相変わらず、良い男だねぇ……。頼りにしているよ?」
「はい!」
さて、何とか間に合った!
アルカディアの使者は、ザンギバールに、追い払われた様だ。
なんとしても、四人で、この村を、守って見せるぞ……!




