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天翔雲流  作者: NOISE
混沌の中で咲く、一輪の花
1606/1794

因縁

 あれから数日……。

 俺はただ、塞ぎ込んだ、ベルトラムの側で、彼の肩を抱き、寄り添っていた……。

 彼が、答えと向き合うまで、ただずっと……。

 ベルトラムが、自嘲気味に笑い、

「俺が、もっと早く、あいつを殴って、無理やりにでも、目を覚まさせてやれば良かったのかな……?」

「ベルトラム……。それを、肯定しても、否定しても、君は、納得しないだろう?ただ……。人の人生は、他人が、決める事じゃ無い……!あれが、エレズの選んだ結末だ!ベルトラム!強くなれ!力だけでは無く、心もだ!弱い事は、罪では無い!それから、目を背ける事が、罪なのだ……!君は、君の足で、立たなくては成らない!俺は、もう行くよ?ベルトラム……。俺は、君の事を、信じているから……!君が、自分の事を、信じられなくとも、俺が!信じているから!」

 俺は、それだけ言うと、扉を閉める。

 部屋の中からは、うめき声が……。

 ベルトラム……。

 俺は、再び、君が立つ事を、信じている!

 誰よりも、優しき戦士よ……。

 何時までも、俺は、待っているからな……!



 あれから、更に二日後……。

 エレズの罰が、公表される事と成った。

 俺は、リーダーとして、立ち会わなくてはならない!

 俺の横には、ヤファとアデナが……。

 そして……!

「へへへ……。悪かったな……。もう、俺は、大丈夫だ!あの馬鹿の、最後を見届けようか?」

「ベルトラム……」

 俺は、不安を覚え、ベルトラムの側へと駆け寄る。

 照れ臭そうに笑う、ベルトラム……。

 もう、迷いは無い!

 戦士の顔だ……!

 俺の肩を叩き、

「やっぱり、お前は、最高の勇者だよ!」

 俺もまた、ベルトラムの肩を叩く。

「お前こそ!最高の、剣聖様だ!」

 俺達四人は、因縁を断ち切る為に、歩き出す。

 もう、迷いは無い!

 謁見の間には、囚人服を纏い、拘束されたエレズの姿が……。

 俺は、ベルトラムの肩を、強く握る。

 ベルトラムは、その手に手を添え、

「大丈夫だ……!」

 参ったな……。

 俺の方が、勇気つけられちまった。

 エレズよ……。

 愚かだが、聡い男よ……!

 せめて、ベルトラムの優しさに気付いて、最後ぐらい、人として、振舞ってくれよ……。


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