因縁
あれから数日……。
俺はただ、塞ぎ込んだ、ベルトラムの側で、彼の肩を抱き、寄り添っていた……。
彼が、答えと向き合うまで、ただずっと……。
ベルトラムが、自嘲気味に笑い、
「俺が、もっと早く、あいつを殴って、無理やりにでも、目を覚まさせてやれば良かったのかな……?」
「ベルトラム……。それを、肯定しても、否定しても、君は、納得しないだろう?ただ……。人の人生は、他人が、決める事じゃ無い……!あれが、エレズの選んだ結末だ!ベルトラム!強くなれ!力だけでは無く、心もだ!弱い事は、罪では無い!それから、目を背ける事が、罪なのだ……!君は、君の足で、立たなくては成らない!俺は、もう行くよ?ベルトラム……。俺は、君の事を、信じているから……!君が、自分の事を、信じられなくとも、俺が!信じているから!」
俺は、それだけ言うと、扉を閉める。
部屋の中からは、うめき声が……。
ベルトラム……。
俺は、再び、君が立つ事を、信じている!
誰よりも、優しき戦士よ……。
何時までも、俺は、待っているからな……!
あれから、更に二日後……。
エレズの罰が、公表される事と成った。
俺は、リーダーとして、立ち会わなくてはならない!
俺の横には、ヤファとアデナが……。
そして……!
「へへへ……。悪かったな……。もう、俺は、大丈夫だ!あの馬鹿の、最後を見届けようか?」
「ベルトラム……」
俺は、不安を覚え、ベルトラムの側へと駆け寄る。
照れ臭そうに笑う、ベルトラム……。
もう、迷いは無い!
戦士の顔だ……!
俺の肩を叩き、
「やっぱり、お前は、最高の勇者だよ!」
俺もまた、ベルトラムの肩を叩く。
「お前こそ!最高の、剣聖様だ!」
俺達四人は、因縁を断ち切る為に、歩き出す。
もう、迷いは無い!
謁見の間には、囚人服を纏い、拘束されたエレズの姿が……。
俺は、ベルトラムの肩を、強く握る。
ベルトラムは、その手に手を添え、
「大丈夫だ……!」
参ったな……。
俺の方が、勇気つけられちまった。
エレズよ……。
愚かだが、聡い男よ……!
せめて、ベルトラムの優しさに気付いて、最後ぐらい、人として、振舞ってくれよ……。




