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天翔雲流  作者: NOISE
混沌の中で咲く、一輪の花
1602/1794

アンデット達の目的

 俺達は、五十名の騎士と共に、アンデット討伐に向かう。

 不思議な事に、アンデット達は、俺達の進路上に、進軍し始めた。

 俺は、険しい顔で、辺りの気配を探る。

 何かが、アンデットを、呼び寄せている。

 何だ?

 落ち着け、ジャショウ……!

 必ず、何かが有る!

 俺の神玉が、全てを捉える!

「メイニル!左後方だ!!」

 皆、俺の言葉を聞き、一斉に振り返る!

 慌てて、木陰に隠れる、人影!

 騎士達が、その者を捕らえ、怒りの形相に変わる!!

「また、貴様か!!仲間殺しのエレズ!!」

「放せ!!僕は、アルゴスの危機を知り、偽物の勇者では、どうにもならないと思ったから、お前達の非礼を、あえて許し、助けに来てやったんだぞ!!」

 ああ、そうか……。

 そう言う事か!

 俺は、エレズの妄言を無視し、導き出された答えに絶望し、狂った様に笑う。

 驚く一同。

 俺は、一頻り、笑った後、無表情と成り、

「最悪だ……」

 そう、呟く……。

 メイニルは、恐る恐る、

「何か、分かったのですか……?」

 メイニルの質問に、俺は、深いため息で答える。

 自嘲気味に笑い、

「最悪だ。俺は、あのアンデット達を、再び、殺したくはないぞ。アンデット達の目的は、そこに居る、愚かな男だよ……!」

 一同が、目を見開き、エレズを凝視する!

 エレズは、しばし、呆然とするが。俺の言葉の意味を悟り、真っ青な顔をする。

「ぼ、僕が目的だって!?な、何故、僕が、アンデットに、狙われなくちゃならないんだ!?」

「そんな事は、お前自身が、よく理解して居るだろう……?」

「ち、違う!!あれは、僕の所為じゃない!!彼等が、弱かったから、死んだんだ!!僕の所為じゃない!!」

 皆、無表情で、エレズを睨む。

 エレズは震え、腰を抜かし、這いずる様に、後退りをする。

 声を震わせ、

「だ、大丈夫だ!ベルトラム達も、強くなっただろう?ぼ、僕が指揮を執り、君達が戦えば、必ず、勝てるはずだよ!!」

 こいつは、この期に及んで、まだ、そんな事を言っているのか……?

 エレズは、必死に、ベルトラムに縋る。

 必死に、服を引っ張り、

「ね、ねえ!僕達、仲間……。いや!親友だよなぁ!二人で、力を合わせ、オーガだって、倒したじゃないか!まさか、見捨てるなんて、言わないよねえ!?ねえ!!」

 ベルトラムが、エレズを、振り払う!

 エレズの周りから、人が離れてゆく……。

 エレズは、必死に手を伸ばすが、誰にも届かない。

 最後に……。

「お、おい、お前!!い、いや、勇者様!あなたは、勇者なんだから、見捨てないでくれますよね!?」

 どこまでも……。

 どこまでも、愚かな人間なんだ……?

 俺もまた、エレズを振り払い、

「進軍するぞ……」

 皆に、号令を出す。

 無言の、行軍……。

 俺は、怒りに震えながら、静かに、息を吐いた……。


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