閑話 憎しみの先に……。
セラフィルは、自分の世界、ローセファールを見つめる。
ギリッ!
ただ一人、怒りの表情を浮かべた。
「やはり、お主は、人すらも、許しておらなかったか……?」
老齢の男が、セラフィルの横に立つ。
ローセファールの、第一世代の神、ヨルシュルーム。
セラフィルは、怒りを隠さず、
「侵略者の人間など、皆、死ねば良いのだ!ローセファールに、異分子は必要ない!」
「その為に、真理を与えず、魔巣を、近くに召喚させた……。考えを改めよ!セラフィル!!人間に、罪は無い!我が世界の民として、あの者達も、救うのだ」
「私とて……。私とて、頭では、分かっております!しかし、あの、身勝手な、侵略者達を思い出すと、許せないのです!ふっ……。いや、今の話は、忘れて下さい。関係の無い、ジャショウ様が、私達に代わって、人間達を、救い始めている……。我々も、何か、考えなくてはいけませんね」
「うむ。その通りじゃ。エステカ殿とも話したが……。我等の世界を、大きくする事とした。今のお主達であれば、十分、管理出来よう」
「あなた達は、戻ってこないのですね……?」
「ふっ……。儂等は、お前達に、追いやられた者達じゃ……。今更、甘えるでない!」
「ふふふ……。若気の至りと、許しては、くれませんか……」
「自然の摂理……。神が、代わる事は、儂等とて、心得ておる。恨んでなどおらぬよ?だから、お主も、決して恨むな!異神と対抗するには、人の信仰を、お前達は、必要とする。理を、忘れるでないぞ?」
「ままならぬものですね……」
「それが、我等の世界じゃ……」
セラフィルの心に、憎しみが消えて逝く。
その代り、後悔、無念……。
雄大な、第一世代の神の背を見送り、静かに、ため息をついた……。




