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天翔雲流  作者: NOISE
魔王降臨
159/1865

この魂に誓い……!

「のう……。ジャショウ殿。儂らは、お主達に、何を返す事が出来る?」

 ベヘムがジョッキを傾け、語り掛けて来る。

 この人は、何を言ってるんだ?

 返してもらうモノなど、別な無い……。

 俺は、首を傾げ、ベヘムを見る。

 不思議そうな顔をする俺を見て、ベヘムは、静かに笑う……。

「お主は、我らに道を示し、おんぼろに体を治してくれた。それだけでは飽き足らず、最高の武器を用意してくれると言う……」

 真っ直ぐ俺を見る。

 優しく、雄々しい、力強い目……。

 俺は、この人の目が好きだ。

 俺は、クスリと笑う。

「あんたの、その目が好きだから……」

「ジャショウ殿……!」

 真剣な目……。

 別に、からかっている訳じゃ無いんだが。

 俺は、姿勢を正し、ベヘムを見る。

「あんた達の雄々しさ、高潔さ。俺達の家族になるのに相応しい……。だから、俺は、手を差し伸べた……。家族を癒し、助けるのは、当たり前の事だろう?それでも何かを返したいと言うんなら……。必ず、生きて帰って来てくれ!例え腕がもげていようと、俺達が、どんな事をしたって治してやる!だから、家族と共に!」

 俺も、力強く見返す。

 どれ位経っただろう。ベヘムは、ふっと笑い、豪快に、エールを飲み干す。

「まったく……。お主は無理難題を言う……。家族と共に帰ってこい。か……。このベヘム、この魂に誓い、その約束はたして見せよう」

 俺はにっこり笑い、ベヘムのジョッキを持って立ち上がった……。



 さて、ベヘム達が入り、子羊の嘶き亭の生活リズムが、少しずつ変化して行った。

 ラナとユウは、ベヘム達と共に、朝から森に行く。

 ベヘム達は、ラナとユウを格下に見ず、対等に接してくれる。

 報酬も、きっかり六等分!

 ユウは遠慮するが、ベヘムは頑なに、そのスタイルを曲げない。

 勿論、他の三人も一緒だ。

 だから、ラナもユウも期待に応える様に、必死に努力して、日々、成長している。

 そもそも、俺達の戦闘スタイル真似するより、ベヘム達から学んだ方が、現実的だ。

 初め、俺達の戦闘スタイルをまねた戦いをして、ベヘム達の度肝を抜いたらしい……。

 オーガ退治の定石は、初め足を狙い、体勢を崩した処で、角を叩く。と言うモノだ。

 頸動脈を狙うとか、心臓を貫くとか、簡単に言っているが、オーガの体は、鋼の様に固い……。

 現実的では無いのだ。

 俺達の所為で、雑魚の様に思われるが、中堅冒険者が五人がかりで、さっき言った方法で、やっと倒せる……。

 なんだかんだ言って、ラナもユウも異常だと言う事だ……。

 午後、合流した俺達は、ベヘム達に、闘い方を見せろと言われ、何時もの様に、オーガを倒した処、苦笑されてしまった……。

 逆に、見せてもらったが、ベヘムが、バトルアックスを振るうと、オーガ達の首は飛び、ヨシュアや、センとロンは、的確に心の臓を貫いて見せた。

 変わらないじゃないか……。

 しかも、慣れない武器で……。

 ベヘム達は今、代替品の武器を使っている。

 一日や二日で、そもそも、武器など出来やしない……。

 早くて十二日そこら……。

 特注品の……。それも、とびっきりのモノを作ってもらうんだ。一月以上かかる。

 あの宴会の後、ドーラが繋ぎとして、替えの武器を持ってきてくれた。

 それも、結構良いやつ……。

 使い潰してくれて良いって……。

 だから、ベヘム達は、その武器で戦う。

 雄々しく、猛々しく……。

 戦場の羅刹……。

 その名に、相応しく……。

 森から帰れば、商店街に顔を出している。

 皆からの信頼も厚く、ラナなんて、あんな性格だけど、隠れファンクラブが有る……。

 ラナには、内緒だけど……。

 たまに、ビックボアを狩って、ガルガトさんのとこにも行くから、ガルガトさんとベヘムは、仲が良い。

 今では、ガルガトさんとザグメさんも、週一で、子羊の嘶き亭に顔を出す。

 その度に、ガルガトさんとベヘムは、肩を並べて大酒を飲んでいる。

 ガルガトさん達が来ると、ガッツは小さくなっている……。

 それが可笑しくって、俺は何時も、ガッツをからかってやるんだ。

 何時もの仕返しとばかりにね。

 もうすぐ俺達も学校だ……。

 期待に、胸を膨らませている。

 サクヤも、学校に入る前から、読み書きの勉強をしている。ロコと一緒に……。

 ロコは、サクヤと学校に行きたいと愚図っている……。

 目まぐるしく変わる日常……。

 明日は、どんなことが有るだろう?


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