考える事でも無いと言うのに……。
エレズの暴走が、また、始まった……。
大声で喚き、ソット達の訓練を妨害し、どすどすと歩きながら、ソルトに詰め寄る!
鼻息荒く、
「あなたは、分っているのかなぁ?今!あなたは!国に、大きな損害を、与えてしまったのだよ?僕を蔑ろにして、未来ある勇者を一人、失わそうとしているのだ!!この事は、国王陛下に、報告するぞ!!」
また、下らない講釈を始めたか。
しかし、昨日までのソルトとは違う。
エレズを、冷淡に見下し、
「はあ?私の仕事は、君のお守りではない!勇者達の指導だ!真理が勇者だったからと、自分を勇者だと思うな!正直、迷惑なのだよ。折角、有能な若者が集まったと言うのに、君の所為で、台無しになる!ジャショウ君が居てくれたお陰で、彼等が、自発的に、成長してくれているから、今は、何とかなっているが……。君こそ、国に、どれだけの損害を、与えていると思っているのだ?身の程を、わきまえろ!!私も!この事は、国王陛下に、報告させてもらう!!エレズと言う、害悪にしかならない、一般人を、何故!何時までも、城に留めておくのか、私には、理解が出来ない!!」
おお!
ついに、ハッキリと、言ってしまった!
余りの事に、エレズは、言われた意味を、必死に理解しようと、考えている様だ。
まあ、考える事でも無いのだが……。
目を見開き、魚の様に、口をパクパクと動かし、必死に言葉を考えるエレズ。
それでも、言葉が、見つからない。
ついには、涙を流し、膝をつく。
後は、哀れに思うほど、無様な醜態であった……。
人目もはばからず、大泣きし、叫び続けた。
自分を、理解する者は、居ないのか?
国は、一人の英雄を失った!
等々……。
聞いていて、少し、恥ずかしくなってしまった程だ。
ソルトは、ウンザリした顔で、横に控えさせていた騎士に、合図をする。
予め、想定していたのであろう。
騎士達が、心得たとばかりに、エレズの両腕を掴み、強制的に、退出させる。
そして、ソルトは、何事も無かったかのように、
「さあ、訓練を続けなさい!」
多少なりとも、ソット達は、動揺した様だが、再び、訓練を始める。
ソルトが、俺の方を向く。
俺もまた、苦笑し、肩をすくめ、
「面倒な勇者が、生まれてしまいましたね?」
「ジャショウ君が、勇者に成ってくれれば、全て、丸く収まるのだよ?」
「お断り、申し上げます」
やれやれ……。
エレズは、この後、どうなっちまうのかなぁ……。




