現実
一日目の訓練が終わり、皆、大はしゃぎだ。
各々、習った事を披露し、知識を、共有する。
魔法が使える、剣士が居たって良いじゃないか。
聖女だけに、回復を、任せる必要も無い。
前線に任せ、身を守る術を持たないなんて、ナンセンスだ。
復習代わりに、互いに、新しい知識を、教え合い、自分一人では、気付かなかった疑問点を、指摘しあう。
互いに互いの課題を作り。また、明日からも、厳しい訓練に臨む。
恐らく、ソルト達は、驚くだろうなぁ。
この子達は、既に、一人じゃ無い!
互いに助け合い、補っている。
この子達の、成長スピードは、大人達が思うモノを、遥かに超えている。
二日目にして、彼等は、驚かされるだろう。
俺は、ソルト達が、慌てる様を思い浮かべ、クスリと笑う。
さて、明日に備えて、今日は、お開きとしましょうかねぇ……。
訓練二日目……。
勇者組は、まだ、二日目だと言うのに、エレズの所為で、大荒れだ。
ストレッチを終わらせ、素振り千本。
しかし、エレズは、頑なに、やろうとしない。
俺達は、何時もの事だと、無視し、自分達の訓練に、集中する。
今日は、素振りが終わると、本格的な、武器の講習を、する事と成った。
剣や槍。弓や斧……。
実践を想定して、あらゆる武器を、使いこなせる様に、ソルトが、実践を交えて、指導してゆく。
今まで、座り込んでいたエレズが、ここぞとばかりに、しゃしゃり出て来る。
また、訓練が、滅茶苦茶にされる……。
俺達は、皆、そう思った。
しかし、今まで、耐え続けていたソルトが、ここに来て、我慢の限界を、迎えてしまったのだ。
前に出て来たエレズを、うざったそうに押しのけ、
「邪魔だ!見学は許すが、ジャショウ君達の訓練の、邪魔はするな!」
エレズにとって、ソルトの対応は、予想外だったのだろう。
今まで、何だかんだと言って、一応は、訓練に、参加させてもらっていた。
そう、エレズだけは、思っていた。
どこかで、そんなソルトに、甘えていたのだろう。
エレズは、目を見開き、呆然とする。
そんなエレズを、ソルトは、完全に無視し、
「済まないが、遅れを取り戻したい。ジャショウ君は、私と一緒に、教える側に成ってくれ。先ずは、剣と盾の、使い方を、説明するぞ」
俺は、ソルトに頼まれ、実演の、相方を務める。
盾の構え方、盾を使い、相手をひるます、バッシュの有効性。攻守一体の攻防を、俺とソルトは、実演してゆく。
何だかんだ言って、ソルトと、こうして、剣を交えるのは、初めてか……。
それでも、お互い、互いの行動が、手に取る様に分かる。
俺とソルトは、自然と、笑みがこぼれる。
自分達で言うのもなんだが、分かりやすかっただろう?
ソットとエミネは、真剣な表情で、俺達を見ながら、大きく頷く。
実演が終わると、二人とも、素早く、剣と盾を取り、向かい合う。
やはり、中々、呑み込みが早いな。
ソットとエミネは、上手く盾を使い、互角の勝負をしている。
俺とソルトは、顔を見合わせ、にっこり笑う。
そんな時……!
「馬鹿にするな!!」
エレズが、般若の形相で、喚き始める。
はぁ……。
これでは、今回の訓練も、滅茶苦茶にされそうだな……。




