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天翔雲流  作者: NOISE
魔王降臨
158/1865

アダマンタイト

 宴は続く……。

 ギルドの酒場。

「私は、ヨシュア。槍を使います!」

「私は、セン……。レイピアと魔法を……」

「私や、ロン。弓の使い手です!」

 ベヘムに付き添っていた三人が、それぞれ挨拶をする。

 俺は無邪気に笑い、握手を交わす。

「こうしていると、ジャショウ様も、年相応に見えますね……」

「ジャショウ様は、止めてくれよ……。四人は……。親戚のおじさん!とっびきり仲の良いの!だから、ジャショウと呼んでくれ!」

「ふふふ……。おじさんですか……。これは、随分元気な、甥っ子が出来ました」

「まったくです!」

「我々も、負けてはおりませんな!」

「「「わはははは……」」」

 話が弾む……。

 皆気さくで、良い人達だ!

 その時、

「ジャショウ……。あの……」

 恥じらう様に、俯きがちにラナが呼ぶ。

 俺は不思議に思い、首を傾げる。

「あの……。私の所為で……」

 声が震えている……。

 俺は、

「何だよ?らしくないぞ……。もしかして、ビビってたのか?姉さん?」

 悪戯っぽく笑ってやる。

「うっさい!馬鹿ジャショウ!」

 最初は大きく、遠慮がちに……。

 俺は、ため息をつく。

「ラナ姉は、俺達の姉ちゃんだ!ラナ姉が嫁ぐって言っても、あんな奴みたいなのに、姉ちゃんを渡したりなんかしない!俺達、家族だろ?」

 ラナの、顔を覗き込む。

 耳まで、真っ赤だ。

「うっさい……。馬鹿……。でも……」

 ラナが、真っ直ぐとこっちを見る。

 深呼吸。

「でも、ありがとう!」

 ギルド中に響きわたる声。

 何事かと、皆が目を見張る。

 ラナは、肩で息をし、

「でも、あんな奴ら、私がとっちめてやれたんだから!」

 何時ものラナだ。

 俺は、二っと笑う。

 それにつられて、ラナも……。

 横で、ユウが、頭を下げている。

「すまなかったな……。元とは言え、家のギルドのしでかした事……」

「ふん!今の私達なら、片手で捻り潰せたわ!」

 ベヘムが、目を丸くする。

「く、ははは……。何と剛毅な!儂らの姪っ子達は、何とたくましいか!?」

 皆が、笑う。

 ヨシュア、セン、ロンが、ラナとユウに、グラスを渡す。

「ここ、子羊の嘶き亭に、乾杯じゃ!」

 ベヘムの音頭で、皆のグラスが揺れる。

 大合唱!

「しかし、口惜しい!儂のアックスがあったなら……」

「我々もです……」

「ベヘムさん達は、武器無いの?」

「先の戦いでな……」

「だったら!」

 俺は、師匠の方を見る。

「師匠!今日、俺達が持ってきた鉄鉱石!」

「むう……。あれか?」

「しまっておいてくれたんだろ?」

「あれのう……」

 師匠は、難しい顔で、鉱石を取り上げる。

 そして、巨人の大槌のおっさんに、投げ渡す。

「!?」

 巨人の大槌のおっさんの顔色が変わる。

 俺達が、何事かと、首を傾げていると、

「ど、何処で手に入れたんじゃ!!」

 おっさんが、俺を激しく揺らす。

 因みにこのおっさん、ドーラと言う。

 俺は、揺られながら、

「キャ、キャロリアの森で……。他は秘密」

「確か、ジャショウ。途中居なくなりましたよね?」

「うん。その時取って来た」

 ドーラのおっさんは、落ち着きを取り戻し、ジョッキを掴み、一気に飲み干した。

「これは、アダマンタイトじゃ!!」

「「「アダマンタイト~!」」」

 一同が、立ち上がる。

 しかし、

「何それ?」

 俺が、知る訳が無い……。

 首を傾げる俺に、ドーラは、熱弁を繰り広げる。

 俺は、目を点にしながらも、

「すごい固い、石なのね?」

 一同が、盛大に突っ伏す。

 えっ!?

 何?その反応……。

「お主……」

 師匠のため息……。

 何?すごく心外!

「この石が有れば、凄い武器が作れるんだろう?」

「うむ!」

 ドーラの鼻息が荒い……。

「ドーラのおっちゃんは、この国一番の鍛冶師だろ?」

「少し言いすぎな様だが、自信はある!」

「だったらこれで、ベヘムとヨシュアと、センとロンと、それに、ラナとユウの武器を作ってくれ!」

「!?」

「残った鉱石と、後、いくら出せば良い?」

「お釣りがくるわ!」

「じゃあ、その分、最高の武器を作ってくれよ!」

「!?」

「ドーラのおっさんには出来ない?」

 俺は、にやりと笑う。

 ドーラのおっさんは、固まり……。

「エールをもう一杯!」

 そして、

「ドワーフの英雄ベヘム……。そしてその仲間。さらには、未来の英雄のか?」

「そう!」

「ク、ハハハ……。この強欲勇者が!なんちゅう、依頼を出す!」

「だから、勇者じゃ無いって……」

「このドーラ!一世一代の大仕事、見事にこなして見せよう!!」

 今日で、何度目だよ?乾杯……。

 そんな中で、ベヘム達が固まっている。

「ジャ、ジャショウ殿、お主……」

「ジャショウ。僕たちの分まで……」

 ベヘムとユウが、震えた声で、俺に近づく。

 ラナですら、口をあんぐりと開けている。

「まあ、先輩冒険者に、華を持たせろよ?」

 俺は、悪戯っぽく笑う。

「どうだ?うち等の英雄は!」

 肉屋のおっさん……。

 今更ながら、この人ガッツって言う……。

 真っ赤な顔をして、俺の肩に手を回す。

「おっさん。酒臭い!」

「うっさい!うち等商店街に、無理難題を押し付けて!これじゃあ毎日、笑って過ごさなくちゃならねえじゃねえか!」

「当たり前だ!俺を誰だと思っているんだ?」

「だから、強欲勇者だろ?」

「だから、俺は……」

「ダハハハハ……。未来の英雄達に乾杯だ!」

 聞いてねえし……。

 俺は、ため息を漏らす……。

 勇者じゃねえ!

 俺は、冒険者だ!

 不貞腐れる俺の首に、太い腕が巻かれる。

「ガハハハ……。儂らも、笑って暮らさなくちゃならないらしい!」

 今度は、ベヘムか……。

 弾かれた様に、他の面々が、顔を見合わせる。

「さあ、強欲勇者に乾杯じゃ!」

 もう、どうでも良い……。

 皆の笑顔が見れるのなら……。

 勇者だって何だって、やってやるさ!


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