皆、成長したなぁ……。
ソット達が、山を登ってゆく……。
昨日以上に、隙が無く。上手く、気配を殺しているな。
最低限の戦闘で、僅か、三十分足らずで、山頂へと、到着した様だ。
山頂から、狼煙が上がる。
エミネが、俺の方を見て、力強く、頷く。
妖魔達が、ざわつき始めた様だ。
エミネのパーティーは、山道を迂回し、公約通り、上手く、妖魔を攪乱している。
こちらも、三十分足らずで、山頂に到着する。
俺は、狼煙を確認し、ソルトの顔を、一度見て、行軍を開始する。
お膳立ては、前を行った、二パーティーが、用意してくれた。
妖魔が、三か所に、分散している。
俺は、ベルトラム達の方を向き、小さく頷く。
今、動いている、全ての妖魔を狩る!
仲間の死体の周りを、徘徊するゴブリン達。
俺とベルトラムが、鮮やかな手並みで、次々と、倒してゆく。
ヤファとアデナもまた、俺の教えた、体術を駆使し、前線を潜り抜けたゴブリンを、いとも容易く、倒してしまう。
慢心する訳じゃ無いが、楽勝だな。
活発に動いていた、妖魔を片付け。俺達は、息切れ一つする事無く、山頂に、到着する。
ソットとエミネが、拳を握る。
俺は、その拳に、拳を重ねる。
このメンバーなら、既に、オーガクラスでも、問題なく、対処できるな。
俺は、優しく笑い、
「皆、強くなったな……」
「馬鹿!あんたに言われても、嫌味にしか聞こえないわよ!」
エミネは、照れ臭そうに笑いながら、悪態を垂れる。
ソットは、素直に喜び、
「ジャショウさん!ありがとうございます♪」
俺達、三パーティーは、互いの成長を、喜び合う。
俺は、大きく頷き、
「さて!ソルト様に、報告するまでが任務だ。気を引き締めて、下山を済まそう!」
「「「はい!!」」」
やれやれ……。
今度こそ、明日からが、本番だ……。
この子達の、成長を見守れるとは、村から出たのも、悪い事ばかりでは無いな……。




