希望の光
しばらく俺は、王城に、滞在しなくてはならない様だ。
夕刻、俺の部屋の扉が、ノックされる。
飯を食ったし、さっさと、寝ようと思ったんだがなぁ……。
面倒臭い、客人の様だ。
俺は、扉を開ける。
「何の用ですか?勇者様達……」
部屋の前には、先程の、ソットと言う少年と、気の強そうな少女。
ソットの方は、頭を下げ、
「あ、あの!ソット・ギブソンと言います!」
少女の方も、ぶっきらぼうに、
「エミネ・ヤーミカ……」
左様ですか……。
こんな時間に、何の用だ?
ソットは、緊張した面持ちで、
「あ、あの!ジャショウさんの武威に、感動しました!ぼ、僕達に、稽古をつけて下さい!僕、皆に、守られているだけじゃ、ダメだと思っていたんです!」
「俺は、ただの、荷物持ちだぞ?」
「ああ!もう!そう言うの、良いから!!私達を、鍛えなさい!!」
エミネは、強引だなぁ。
俺は、苦笑をこぼす。
「まあ、別にかまわぬが……。ソットもエミネも、心を鍛えなくてはな」
「うるさいわね!余計なお世話よ!!」
「ぼ、僕、頑張ります!」
やれやれ……。
対照的な、二人だ。
それじゃあ、少し、鍛えてやるとしようかな……?
「糞!糞!糞!何で、私の攻撃が、かすりもしないのよ!!」
「ぼ、僕なんか、なんで、躱されているのかも、分かりません」
「そんなの、私も一緒よ!!」
ははは……。
元気の良い、子達だなぁ……。
神速の速さで、俺は、剣を振るう!
二人の剣は、宙に飛び、
「はい。今日はここまで!二人とも、訓練が終わったら?」
「「ありがとうございました!」」
「よろしい……。どんな時でも、驕らず、謙虚になり、他者に敬意を払え。君達は、人々の、模範と成るべき人間だ。ちゃんと、心も、鍛えろよ?」
ソットは、素直に頷き。エミネは、頬を膨らませ、ぶっきらぼうに頷く。
大丈夫だろう。
少し、剣を交えただけだが。二人とも、真っ直ぐな剣であった。
この子達なら、大丈夫だ。
きっと、誰よりも強くなり、人々の、光と成ってくれるだろう……。




