確かな絆
「確かに、王宮ご用達の、行商人のカードだ。すると、俺達も一緒に、アルゴスまで、連れて行ってもらえるのか?」
「ああ、一応、俺達も、護衛と言う形で、ソートさん達のキャラバンに、加えて頂ける様に、交渉をした。ソートさん達は、急ぎの旅らしいから、馬車を飛ばして、アルゴスへ向かう。十日間位、早く着く筈だよ」
「マジかぁ!ラッキーじゃないか♪」
全員の顔に、安堵の色が浮かぶ。
正直、エレズを抑えながら、後、十六日間旅するのは、無謀に等しい。
皆、その事を、よく理解している。
俺とソートは、顔を見合わせ、ため息をつく。
エレズだけは、仏頂面だ。
エレズは、ぶっきらぼうに、
「宿は、ちゃんと、取ったんだろうな?僕は疲れた!先に眠らせてもらう!」
やれやれ……。
ソート達には、これから、お世話に成ると言うのに、尊大な態度を取って……。
行ってしまったか……。
俺達は、エレズに変わり、頭を下げる。
俺とソートは、目を合わせ、苦笑をこぼす。
ソートは、六日間の旅の中で、エレズを、諭すと言っていたが……。
本当に、大丈夫だろうか……?
ソートの、キャラバンとの旅が始まる。
馬車は三台。
俺達は、最後尾の馬車に乗り。エレズだけは、ソートが、是非、勇者様と話がしたいと煽て、一番前の馬車に、乗車させた。
久々に、エレズから、解放された!
俺達は、談笑しながら、馬車の旅を楽しむ。
実際の所、俺達が異例で、他の勇者達は、この様な感じで、馬車を使って、のんびりとした旅を楽しみ、アルゴスへと向かうそうだ。
ヤファとアデナは、俺にもたれ掛かり、寝息を立てている。
俺は、この旅で、初めてかもしれない。
ベルトラムと、一対一で、談笑する。
俺は、俺の教えられる事を、ベルトラムに、笑い話を交え、話してやる。
冒険の基本……。
戦術の基本……。
本格的に、旅を始める事と成ったら、シーフを雇う様に勧めた。
そして、何より、背中を預ける仲間を、大切にするよう、諭してやる。
ベルトラムは、年相応の笑顔を見せ、俺に、色んな事を、聞いて来る。
俺は、その都度、色んな例えを交えて、色んな話をし。ベルトラムを、笑わす。
俺達の間には、確かな、絆が生まれていた。
俺は、この子の笑顔を見ながら、一つ、安堵している事がある。
ソートの話では、エレズを、更生出来なかった場合は、この子達と、離すと言う。
たった、四日であるが、この子達の成長を見て、使い潰すべきでは無いと、判断した様だ。
と言うより、この国の王、ルキウスは、誠実な王の様だ。
子供の頃より、戦う事を、宿命づけられたこの子達を、心の底から、気遣い。死なせない為に、アルゴスへと招き、鍛え様としていると言う。
それ故に、今回の、エレズの暴走を、子供故の、至らなさと、周りの者を諭し、見捨てなかったのだ。
そして、それと同時に、ベルトラム達の不遇に、心を痛め、アルゴスに到着した後は、エレズと、一度離し。場合によっては、エレズには、大人を付け。ベルトラム達は、基礎訓練を受けさせ、俺と一緒に、ニッサ村へと、帰す事を、考えていると言う。
ハラ婆さんも、老齢……。
代わりに、結界を維持する者が、必要になって来る。
その役目を、アデナに任せ、ベルトラムとヤファは、その守護をする。
現実的に考え、その可能性が、一番高そうだ。
そして、今、王宮で囁かれているのが、俺の存在……。
温厚な、ハラ婆さんの激怒。
影の者に気づき、底知れぬ力を秘めている。
そう、ソートは、国王陛下に、報告した。
エレズの、詰まらぬ、我が儘の所為で、ハラ婆さんとの関係が、崩れてしまった。
国王ルキウスは、慌て、自分の送った書状の、不遜を謝り、ニッサ村に、物資と言う形で、多くの供物を、送ったらしい。
しかし、ハラ婆さんは、頑として、それを受け取らず、俺を、無事に返せと言う。
やれやれ……。
皆、少々、大人げないな……。
大人が、意地を張り合っていては、また、俺に、しわ寄せが来てしまいそうだ……。




