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天翔雲流  作者: NOISE
現実と妄想の狭間で
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取り残される者

 俺が、先頭を歩く事とする。

 先頭を歩いていたベルトラムは、エレズのお守りだ。

 しかし、ベルトラムも、たった三日で、随分と成長した。

 腕っぷしだけじゃ無い。心もだ!

 少し前の彼であったら、エレズの事を、殴り飛ばし、無理やり、引きずっていただろう。

 確かに、今も、エレズの首根っこを掴み、無理やり、歩かせているが……。

 それは、エレズが悪い。

 駄々っ子の様に、積極的に、歩こうとしないからだ。

 先が思いやられる。

 まあ、全部が全部、エレズが悪いと言う訳では無いのだが……。

 エレズは、運が悪かった……。

 他の三人の成長が、早すぎるのだ。

 彼等は、まだ、十三歳の、少年少女。

 夢も見るだろうし、背伸びもしたかろう。

 皮肉にも、一番暴走しうる、ベルトラムが、死と直面し、現実を知り、謙虚になった。

 他の二人も、エレズの暴走に、このままでは、自分達も死んでしまうと、痛烈に、実感したのだろう。

 ヤファとアデナは、村に着いても、魔力を練って、修行をしている。

 その上、三人とも、索敵を覚えた様だ。

 俺の教えに従い、互いに、目配せして、慎重に考え、行動する様に成った。

 結局、エレズは、そんな三人の成長を前に、取り残されてしまったと言う訳か。

 失敗して、互いに補い、成長すれば良かったのだが、エレズだけが、その輪に入る事が、出来なかったと言う。

 勇者であると言う自負が、失敗を、認める事が出来なかったからだ。

 奴には、謙虚さと言うモノが無い。

 常に、失敗を、誰かに押し付け、逃げてしまう。

 俺を、同行させた事が、失敗であった。

 皮肉にも、奴の逃げ道が、俺なのだから。

 何か、思う様に行かなければ、俺の所為にする。

 お決まりの、パターンだ。

 結局、誰からも、信頼されなくなったが……。

 まったく……。

 その結果の尻拭いが、全て、俺の所に来るんだもんなぁ……。

 俺も、暇では無いのだが……。

 親愛なる追跡者……。

 影の情報も、イヴと共に、集めている。

 信頼するに、値するか?

 前にも言ったが、勇者とは、国にとっても、ステータスだ。

 他国の間者が、自国の影に扮して、俺達を、攫う可能性だってある。

 まあ、結果から言うと、白だったのだが。

 影の一人が、王都、アルゴスまで行き、城へと入り、王であるルキウスと、謁見していた。

 もう、既に、エレズの醜態は、王の耳にも、入っていると言う事か。

 やれやれ……。

 俺も、目立った行動は慎み、いらぬ騒動に、巻き込まれない様にしなくてはな……。


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