くだらない下剋上
「畜生、畜生!どいつもこいつも、僕を、馬鹿にしてぇ!!」
折角、丸く収まったと言うのに、エレズが吠える。
俺を睨み、
「全て、お前がいけないんだ!荷物持ちで、大した仕事もしてない癖に、何時も、僕の足を引っ張る!そもそも、酒ぐらい、サービスで付いて来る宿を、用意する事位、出来ないのかよ?僕だって、度重なる戦闘で、精神を、すり減らしているんだ!そう言う処が、気が利かないって言うんだ!!」
馬鹿か?こいつ……。
また、あっと言う間に、険悪な雰囲気になる。
ベルトラム達や大人達が、怒りを露わにするが、皆、俺の顔を見て、一瞬で固まる。
俺は、冷たく、エレズを睨んでいた。
こいつじゃダメだ!
ベルトラム達を、殺してしまう!
俺は、気焔を立ち昇らせ、
「何時までも、貴様如きが、思いあがっているんじゃねえぞ……?碌な指揮も、戦闘も出来ない癖に……!何時まで、悲劇のヒーローを、気取っているのだ?もう良い。貴様に代わって、俺が、アルゴスまで、勇者を務めよう。荷物を持つ必要も無い!お前は、黙って、俺達の後を、付いて来れば良い……!」
「なっ!?僕の真理が、勇者なんだぞ!誰かが、代わりに成るなんて、ありえないだろう!?」
「うるさい、羽虫だ……!俺の真理は、万能……。その気に成れば、何だって出来るさ。お前の代わり位、簡単に務めてやる!」
俺の怒りに、誰も、言葉を発せない。
下らない、下剋上だ。
しかし、その静寂の中、けたたましい足音が、宿の扉を開け放って、やって来る!
「た、大変だ!オーガだ!オーガが三体、村を襲いに来た!!きゃ、客の中に、冒険者は居ねえのか!?」
おっと、グットタイミング!
しかし、同じ様に、エレズも考えた様だ。
せせら笑いながら、
「じゃあ、やってみろよ?万能だって?僕の代わりが出来ると言うなら、この村を、守って見せろよ!!」
「ふん……。言われるまでも無い!誰も、傷つけさせないで、守ってやるさ!!」
俺は、宿を飛び出し、オーガの居る方に向かって、走り出す!
その後ろには、ベルトラム達が!
「ジャショウ!いや、勇者!俺達も、戦うぜ!!」
「そうか……。すまん!敵は三体!俺が、二体を倒す!三人で、残りの一匹を、倒して見せるんだ!もう、昨日の、お前達じゃ無い!落ち着いて戦えば、倒せる敵だ!」
「「「はい!」」」
「アデナは、ベルトラムに支援を!」
「畏まりました!」
「ヤファは、オーガの、足を狙え!」
「うん!決して、外さない……!」
「そしたら、ベルトラム!やれるな?」
「おう!任せておけ!!」
俺達は、一気に駆け抜ける!
オーガの咆哮が、近づいて来る!
オーガが、確認出来た瞬間……!
瞬殺!!
俺は、大人達の間をすり抜け、宙に舞い、手刀で、オーガの首を刎ねる!!
そのまま、着地と同時に、もう一体のオーガの胸を、貫き、血風が吹き上がる!!
俺は、静かに、その場に立ち、
「今だ!!」
ヤファのマジックアローが、残りのオーガの足を、貫き通す!!
膝をつくオーガ!
そこに……!
「おりゃあ!!」
支援魔法を受けたベルトラムが、咆哮を上げる!!
オーガの首は、宙を舞い、俺は、それを、キャッチする!
俺は、ベルトラム達に向かって、親指を立てる。
一拍子遅れて、大歓声!!
俺は、警戒を解かず、辺りの気配を探る。
残りに敵は、存在しないな。
ベルトラムが、凄い勢いで、俺に抱き着く。
「ジャショウ!すげえよ!お前!!そんなに、強かったのかよ!!」
ヤファとアデナも、駆け寄って来る。
俺は、二人の頭を撫で、
「三人とも、よく頑張ったな」
「「うん♪」」
ヤファは、もっと撫でろと、頭を、押し当てて来る。
さてと……。
宿屋に戻って、身を清めるか……。




