スターりーで培った、営業スキル!
俺達は、ウンザリした顔で、宿へと入る。
そこには、剣を取り上げられ、床に、押さえつけられている、エレズの姿が……。
俺達が、中へと入ると、女将さんが、憤怒の顔で、
「ちょいと!あんた達の仲間なんだろう?この子!」
「はぁ……。大変、申し訳ありません……。エレズが、何か、やらかしたのですか?」
俺は、神妙な顔で、女将さん達に、頭を下げる。
スターリーで培った、俺の営業スキルも、捨てたものじゃ無い。
まだ、子供の少年が、大人達の前で、自分には、責任が無いと言うのに、深々と、頭を下げるのだ。
こう言う場合、足元を見られる、パターンも多いが、俺は、宿を借りる時も、至って紳士的に、対応している。
この女将さんとも、世間話をしたぐらいだ。
悪印象は、抱かれていない。
案の定、大人達は、ばつの悪そうな顔をしている。
子供が、頭を下げて、冷静に対応していると言うのに。大の大人が、子供相手に、感情的になるのも、大人げない。
大人達は、恥ずかしそうに笑い、エレズを睨むと、
「こいつがよう……。ガキの癖に、酒場に来て、酒を出せと言うから、断ったんだがよう。そしたら、酒蔵に忍び込んで、酒を盗み、飲んじまったんだよ」
「それでねぇ……。まあ、背伸びしたい年頃だから、軽く、お灸をすえたんだが……。急に怒り出して、剣まで持ち出したから、取り押さえたって言う話よ」
「それは……。大変、申し訳ありませんでした!誰か、お怪我をした人は、おりませんか?」
「なんの、なんの!ゴブリンに、産毛が生えた様な奴に、負かされるほど、儂等は、耄碌しちゃいねえよ!」
「そうですか……。お怪我が無くって、本当に良かったです。それで、弁償させて頂きたいのですが……。こいつが飲んだ酒と、壊した物が有れば、請求して下さい」
「本当にねぇ……。あんたみたいな、可愛い子に、頭を下げられてちゃ、申し訳ない気持ちに、成ってしまうわぁ。それじゃあ、お酒の代金だけ、払って貰って良い?五十エルスなんだけど……」
「はい!お納め下さい。今回は、本当に、申し訳ありませんでした!」
エレズを押さえていた男達が、笑いながら立ち上がる。
俺の肩を叩き、
「そういや、俺もガキの頃、親父の酒をくすねて、飲んじまった事があったなぁ」
「あっ!それ!俺も一緒に飲んだ!」
「ああ!そうだったけなぁ!二人で、しこたま、怒られたっけ!」
「お前のお袋、おっかなかったからなぁ」
「逆に、親父が、止めに入ったんだっけか?」
「そうだった、そうだった!!」
「「「がははは!!」」」
大人達は、馬鹿話をしながら、俺達を、慰めてくれる。
俺と一緒に、プライドの高い、ベルトラムまで、頭を下げている。
やはり、ベルトラムは、変わったなぁ。
心まで、強くなった……!
さて……。
この馬鹿勇者には、どう、落とし前を付けてもらおうか……?




