分裂
旅は順調……。
途中……。
「しっ!腰を屈め!ゴブリンだ」
ベルトラムが、警戒態勢を取る。
ヤファとアデナは、素早く対応し、
「一体ですね……」
「ああ、はぐれの様だ……。ヤファ、頼めるか?」
「うん……。マジックアロー……!」
もう、詠唱も、必要としないか。
ヤファは、鮮やかな手並みで、ゴブリンの急所を貫く!
ゴブリンが死んだのを確認し、三人は、小さく頷く。
「早く、ここから、離れるぞ……!」
再び、足早に、三人は、歩き始める。
三日目にして、ここまで、成長したか。
俺は、感心しながら、三人の後に続く。
更に後ろで、一人、不貞腐れるエレズ。
問題を、起こさなければ良いが……。
山を越え、森を抜け、広い草原へと、辿り着く。
これだけ、見晴らしが良ければ、そうそう、妖魔達に、奇襲を受ける事は無いだろう。
引き続き、警戒を続けているが、三人の顔にも、安堵の表情が浮かぶ。
ただ一人、エレズだけは、
「君達、勇者パーティーとしての、自覚があるのかなぁ?ただのゴブリン相手に、こそこそと逃げ回り。戦ったかと思えば、全部、不意打ちだ!コソ泥じゃ無いんだからさぁ。もっと、こう、僕の事を、無視しないで、正々堂々と、戦ったりは、出来ないのかい?」
こいつは、馬鹿だ……。
噂以上の馬鹿だ!
折角、鎮火していた所に、火種を投げ込んだよ。
ベルトラム達の表情が、一気に、険悪なモノへと変わる。
今まで、我慢して、我慢していたと言うのに……。
ベルトラムは、憤怒の顔で、エレズの胸ぐらを掴む!
そして、歯をむき出しにし、
「手前は、そのゴブリン相手に、毎回毎回、アデナに、支援魔法を掛けてもらって、やっと、倒せるだけじゃねえか!!お前流の言い方をすれば、遊んでるんじゃねえんだぞ!命のやり取りを、やっているんだ!!後ろで、ふんぞり返って、偉そうな事を言う前に、リーダーだと言うなら、仲間の負担を、少しは考えろよ!!」
やれやれ……。
三日目にして、最悪な形で、分裂してしまったか……。
俺は、見えない追跡者の方を向き、肩をすくめる。
ベルトラムの怒りに、エレズは慌て、
「ぼ、僕は、戦士としての、心構えを、君達にも、理解してもらおうと、教えてやっているんだよ?何を、怒っているんだい?」
「戦士としての、心構えを、教えてやってっるだぁ?だったら、俺も、お前に教えてやるよ!リーダーって言うのはな!他人の手柄を奪って、ふんぞり返る奴の事じゃねえ!仲間を気遣い、無用な戦闘を、回避する様、心がけろ!!」
「き、君に、リーダーの何が分かるんだ!」
「少なくとも、手前が、リーダーの器じゃねえって事位は、俺にも分かるさ!!」
ベルトラムは、それだけ言うと、エレズを突き放す。
そっぽを向いて、再び歩き出し、
「わりい、ジャショウ……。ロゴーの村まで、後、どの位だ?」
「はい。ここまで来れば、このペースで歩けば、一時間ほどで、到着します。十四時までには、皆さんの頑張りのお陰で、到着しますよ」
「へへ……。そうか……。お前に褒められると、なんか嬉しいな」
「ははは……。そう言ってくれると、私も、嬉しく思います」
さてと……。
俺の、索敵にも、敵の気配は、感じられない。
先の事を考えると、目眩を覚えるが、今日は取り敢えず、ロゴーの村で、ゆっくりさせてもらおう……。




