無下にも出来ぬか……。
漸く、落ち着いた二人は、俺に、この国の事を、説明し始める。
先ず、この国の名前は、アルカディア。
そして、王都は、アルゴスと言う。
因みに、この村の名は、ニッサだ。
前々から、気にはなっていたが……。
ここ等一帯、瘴気が感じられない。
この村で、妖魔を見た事も無い。
その理由が、ハラ婆さんに有った。
王都で、神官長まで務めた、ハラ婆さん。
ただ者では無いと思っていたが、何故この村に居たか?
それは、ここが、アルカディアの国境沿いで在り。ハラ婆さんは、ここに留まり、セラフィルに祈りを捧げる事で、国一つ、守っていたと言うのだ。
故に、祈りを放棄すると言う事は、国の大事に繋がる。
王の要求に対し、随分と、大胆な脅しを、俺なんかの為に、してくれたと言う事だ。
で、問題の勇者君達はと言うと……。
今の俺と同じ、十三歳……。
基礎技術は、この村で学び。その後は、他の勇者パーティーと共に、王都で、厳しい訓練を受ける事と成るらしい。
勇者が一人と、誰が言った?
勇者も、剣聖も、賢者も、聖女も、メジャーとまでは言わないが、一つの国に、三、四人ずつ、存在するらしい。
今、アルカディアには、この村のパーティーを含めて、三パーティーある。
まあ、俺は、王都までの道中で、このパーティーに追従し、荷物持ちやら、宿取りやら、簡単に言えば、勇者達の、身の回りの世話をしろと言うのだ。
正直、面倒臭い……。
しかし、面倒臭いが、ハラ婆さんが、身寄りの無い俺の為に、国王陛下まで、脅したとなると、断る訳にもいくまい。
場合の寄っては、俺が、国を亡ぼす事に成ってしまうからな。
物理的に!
さて、勇者パーティーの内訳は……。
勇者エレズ……。
一見、好少年の様に見えるが、陰湿。目先の欲に惑わされる馬鹿だが、頭の回転は速いと……。
面倒臭いな……。
続いて、剣聖ベルトラム……。
プライドが高く、猪武者!
以上!
賢者ヤファ……。
内気で、兎に角、人見知りが激しい。
天地無用!
ガラスの様に、扱うべし!
最後に、聖女アデナ……。
ヤファも、良い子らしいが、アデナと言う少女も、聖女に選ばれただけあって、このパーティーの良心とも言える、優しい少女。
ただし、常識が乏しい……。
人類、皆兄弟を、地でゆく少女だ。
こんな連中の面倒を、俺が、見なくてはならないと言うのか?
王都まで、片道、二十日……。
俺は、軽い眩暈を覚え、盛大な、ため息をついた……。




