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天翔雲流  作者: NOISE
喰らうは誰か……?
1538/1794

無下にも出来ぬか……。

 漸く、落ち着いた二人は、俺に、この国の事を、説明し始める。

 先ず、この国の名前は、アルカディア。

 そして、王都は、アルゴスと言う。

 因みに、この村の名は、ニッサだ。

 前々から、気にはなっていたが……。

 ここ等一帯、瘴気が感じられない。

 この村で、妖魔を見た事も無い。

 その理由が、ハラ婆さんに有った。

 王都で、神官長まで務めた、ハラ婆さん。

 ただ者では無いと思っていたが、何故この村に居たか?

 それは、ここが、アルカディアの国境沿いで在り。ハラ婆さんは、ここに留まり、セラフィルに祈りを捧げる事で、国一つ、守っていたと言うのだ。

 故に、祈りを放棄すると言う事は、国の大事に繋がる。

 王の要求に対し、随分と、大胆な脅しを、俺なんかの為に、してくれたと言う事だ。

 で、問題の勇者君達はと言うと……。

 今の俺と同じ、十三歳……。

 基礎技術は、この村で学び。その後は、他の勇者パーティーと共に、王都で、厳しい訓練を受ける事と成るらしい。

 勇者が一人と、誰が言った?

 勇者も、剣聖も、賢者も、聖女も、メジャーとまでは言わないが、一つの国に、三、四人ずつ、存在するらしい。

 今、アルカディアには、この村のパーティーを含めて、三パーティーある。

 まあ、俺は、王都までの道中で、このパーティーに追従し、荷物持ちやら、宿取りやら、簡単に言えば、勇者達の、身の回りの世話をしろと言うのだ。

 正直、面倒臭い……。

 しかし、面倒臭いが、ハラ婆さんが、身寄りの無い俺の為に、国王陛下まで、脅したとなると、断る訳にもいくまい。

 場合の寄っては、俺が、国を亡ぼす事に成ってしまうからな。

 物理的に!

 さて、勇者パーティーの内訳は……。

 勇者エレズ……。

 一見、好少年の様に見えるが、陰湿。目先の欲に惑わされる馬鹿だが、頭の回転は速いと……。

 面倒臭いな……。

 続いて、剣聖ベルトラム……。

 プライドが高く、猪武者!

 以上!

 賢者ヤファ……。

 内気で、兎に角、人見知りが激しい。

 天地無用!

 ガラスの様に、扱うべし!

 最後に、聖女アデナ……。

 ヤファも、良い子らしいが、アデナと言う少女も、聖女に選ばれただけあって、このパーティーの良心とも言える、優しい少女。

 ただし、常識が乏しい……。

 人類、皆兄弟を、地でゆく少女だ。

 こんな連中の面倒を、俺が、見なくてはならないと言うのか?

 王都まで、片道、二十日……。

 俺は、軽い眩暈を覚え、盛大な、ため息をついた……。


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