く、癖が強い……。
自警団の兵に連れられ、ふくよかな中年女性が、俺の案内役に、やって来た。
女性は、優しく笑い、
「両親が、殺されてしまったんだってねぇ……。お嬢ちゃん一人で、よく頑張ったねぇ。けど、もう大丈夫だよ!この村の人間は、皆、善良だからねぇ♪私の名前は、ニル・バーニャ!村の酒場の、女将をやってる者さ!気軽に、ニル姉さんとでも、呼んどくれ♪」
「あ、ありがとうございます……。ニル姉さん。それと、その……。俺は、男なんですが……」
一同が、驚いた顔をする。
またか……。
またなのか?
俺が、男だと知ったニルは、頬を染め、
「やだねぇ!アンタみたいな美少年に、姉さんなんて呼ばれたら、私の体、ほてってきちゃうよ!」
ニルは、俺の背中を、バシバシ叩く。
自分で呼べと言ったのに、何なんだ?一体……。
自警団の者達は、苦笑をこぼし、
「ニルの姉御に頼んだのは、失敗だったか?」
「まさか、男だったとはなぁ。俺達が、連れて行けば良かった。ニルの姉御!この子に、変な事を、やらないで下さいよ!」
「私が、そんな事を、する訳が無いでしょうが!私が、もう十年若けりゃ、しちまったかもしれないけどさぁ!」
「「姉御ぉ!本当、勘弁して下さい!!」」
「もう!二人して、何なのさ!文句があるなら、酒場のつけを、さっさと払いなさい!誰が、あんた達に、ただ酒飲ませてやってると思っているのさ!!」
「ふひぃ……」
「すまん!少年!幸運を祈る!!」
マジかぁ……。
悪い人そうじゃないから、大丈夫だよな?
ニルは、俺の手を握り、ルンルン気分で、歩き出す。
はぁ……。
長老とは、どう言った人なのだろうか?
ここの村人、悪い者達では無いが、癖が強すぎるぞ?
やっぱ、大きな街に、行かなくては駄目かなぁ?俺……。




