ローセファール
鼻に、こびり付く様な血の匂い……。
家屋は燃え、人の屍は、弄ばれた様に、辺りに散乱している。
ここが、ローセファール……?
野獣達の目が、一斉に、俺の方を向く。
やれやれ……。
お食事中だったか……?
新たな獲物を見つけた、獣達は、一斉に、俺に襲い掛かる!!
「見苦しい……。消えよ!!」
たった一閃!
獣達の首が飛び、俺は、何事もなかったかの様に、歩き出す。
さて、何処へ向かえば良いか……?
東の方に、人の気が、集まっている。
規模からして、二百人前後の、村の様だ。
取り敢えずは、そこに……。
俺は、破れた布を拾い、身に纏う。
アルシファードと、文明レベルは、それほど、変わらないようだな。
可笑しな話だ。
この文明レベルが、一番、どの世界でも、安定し、繫栄するのだから。
いくつもの文明が、生まれては消えて、この体系へと、姿を戻す。
さて、人間の心はどうか……?
第一村人に、会いに行くとしようか……。
魔力の目を飛ばし、イヴに、世界を、観察してもらった……。
強かなものだ。
人は、思いの外、この世界の状況に、順応している様だ。
冒険者、騎士、英雄……。
人は、人の力で、妖魔と戦っている。
確かに、日々、多くの人間が、妖魔の手で、殺されている様だが。未だ人口は、アルシファードの、十倍以上いる。
今の、文明レベルを考えると、異常な、人口と言えよう。
取り敢えず、静観だ、静観。
先ずは、村へと行き、人と交わう。その後、冒険者の居る街へと行き、いつも通り、冒険者となり、様子を窺うとしよう。
そうこうしている内に、村が見えてきた。
さて、上手く、村へと入る事が出来るだろうか?
精々、無力な少年を演じて、小賢しいが、人間達の、同情でも買うとしようかな……?




