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天翔雲流  作者: NOISE
喰らうは誰か……?
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我等の咎

 ヨルシュルームと言う神は、慎み深く、思慮深い神の様だ。

 俺達の事を、よく理解し。これから、どうするべきか、しっかりと、考えがある様だ。

 我が前で跪き、先ず、我が眷属となる事を誓う。

 そして、第二階層の天界で、マーラ達と協力し、ローセファールの瘴気を、我が力へと変える。

 そして、その後、人間達の手で、魔王を倒させ、瘴気の管理権を、セラフィルに移すと言う事だ。

 魔王を、人か、神の手で倒すかで、討論となったが、残酷な話だ。

 増え過ぎた人口を減らす為、人に、わずかばかりの力を与え、魔王と戦わせる事で、話がまとまった。

 しかし、面倒な話は、ここからだ。

 また、俺を、人として転移させ、その戦いを、見守らせると言うのだ。

 魔王の力を、削ぐ事は出来るが、無力化する事は出来ない。

 祝福を与えられた人間達が集まり、五分と五分。

 争いの火種が燻る、ローセファールでは、不安要素が、多く存在する。

 故に、俺と言う存在は、保険の様なものだ。

 それも、使う可能性の高い保険。

 そして、非情で残酷な保険……。

 さっきも言った通り、今、ローセファールの人口は、容量を、遥かに超えてしまっている。

 人々が、淘汰され。人口が、落ち着くまで、俺は静かに、静観していなくては成らない。

 今回、俺は、人々を守る為に、転移する訳では無い。

 世界の秩序を、取り戻す為に、転移するのだ。

 残酷な優しさが、世界を壊し。

 残酷な選択が、世界の秩序を取り戻す。

 ああ、ホレスよ……。

 消滅させてもなお、貴様の愚行を、心から呪うぞ……!



 今、再び、世界の時を止める……。

 今回は、アルシファードだけでは無い。

 ローセファール以外、全ての世界の時を止めた。

 それだけの事を、今の俺は、可能とする。

 正直、今のままの年齢で、転移する事も出来るが……。

 今回の目的は、瘴気の反乱の鎮静と同時に、人口の淘汰。はっきり言えば、人間の間引きだ。

 つくづく、嫌な役を、押し付けられたものだ。

 俺は、十二歳の、少年の姿に変わる。

 この時点で、俺は、長い歳月の中で、多くの死を、見続けなくてはならぬと悟った。

 憂鬱とする……。

 俺が、そう思うのだから、ローセファールの神々の心境は、如何程のものか……。

 第二世代の長である、セラフィルの顔には、苦痛の色が、見受けられる。

 全知全能が、聞いて呆れる。

 人を救いながら、人を、殺さなくてはならないとは……。

 ゆっくりと、転移門が、開け放たれる……。

 俺は、憤怒の顔で、

「行ってくる……!」

 ただ、それだけを言い、光の中へと、消えて逝く。

 今回の騒動に、人の咎は無い。

 醜く争い、瘴気を増殖させた事は、忌むべき事であるが……。

 最初に、戦を始めたのは、神々の方だ。

 そして、ローセファールは、被害者であろう。

 ああ、俺達の咎か……。

 神が、神を喰らう様に成ったのは、まごうことなき、我等の咎よ。

 この宿命から、解放された暁には、愚かな神々に、審判を下そう。

 血と凄惨な、奴らに相応しい、残酷な、神判を……!


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