末法の世
ホレスの残した傷跡……。
奴は、世界の境界を壊し、混沌とした世界を、創り出してしまった。
我が力を欲し、アルシファードを、侵略しようとする異邦神。
今となっては、蚊ほどの存在でも無いのだが……。
ナビ子達は、勿論の事。六大神でさえ、圧倒的な強さを誇る。
故に、奴等も、強かに考えた。
世界同士が、侵略しあい、俺に、近づこうとしたのだ。
まさに、末法の世と言えばいいか?
神が神を殺し、力を得ようと言うのか?
実に愚かで、浅はかな、考えよ。
人が、争いの中で、死に逝く時に、瘴気が生まれる。
神もまた、然り!
人とは、比べものにならない程の、瘴気が生まれる。
勝ち抜き、力を手に入れたその先で、待ち受けているモノは、取り返しのつかない、瘴気の氾濫!
結局、手に入れた力の殆どを使い、その瘴気を鎮める事と成る。
俺達とは、違うのだよ……。
俺は、侵略者を喰らい、多くの瘴気を生んでいた……。
しかし、無意識の内に、その瘴気すらも、取り込んでいたのだ。
マーラ達が、我が世界に来てからは、それが、ハッキリとした形で、行われる様になっている。
本来、他の世界を侵略する禁忌を犯す時には、神が神を殺し。自分の世界の住人を、新しい世界に移住させる。その後、必要の無くなった古巣に、瘴気を封印する。
これが、暗黙の了解だったのだ。
だが、今回のケースは違う。
自らの力を、より強大にする為、異世界を襲う。
第二世代の神々は、その力を発揮するには、信仰を必要とする。
故に、どちらの世界も、滅ぼす事が出来ない。
結果は、自己消滅……!
侵略した側、された側。共に、均衡が崩れ、勝者である、神もろとも、滅びてしまうのだ。
しかし、俺達を除いて、異神達が、その事実を知る術は無い。
知った時には、既に、力を失い、滅びる運命にある……。
狂った世界……。
壊れた世界……。
俺達に、近づこうとした神々は、皮肉にも、俺達の糧を創って、滅びていったのだ。
異次元で漂う、膨大な瘴気は全て、我が力へと変わる。
そうして、新たな世界が生まれる……。
皮肉な事に、ホレスの望んだ、不完全な世界の消滅が、愚かな神の手で、行われる事と成った。
命は、無常に、消えてゆく……。
この狂気は、何時、終わりを迎えるのだろうか……?




