たった一文で、怒られた!?
超大国スターリー……。
そのスターリーの中に生まれた、もう一つの国……。
エネス地区は、そう呼ばれている。
聡い者達が、エネス地区へと集まってゆき、俺は、望まなくとも、天上へと、持ち上げられてゆく。
スターリーの発展と共に、俺は、大公と言う地位に、担ぎ上げられる事と成る。
実に、面倒臭い……。
この爵位に伴い、俺は、スターリーの街全域を、統括し、発展させる事を、義務付けられる事となった。
俺は、増えてゆく仕事に、ウンザリしながら、
「エローラとアルサよ……。これでは、俺達が死んでしまう。人を雇いたいが、誰か、信頼出来る者は居るか?」
「ははは……。なかなか、難しい案件ですね。残念ですが、これという人材が、思い当たりません。しかし、良い機会です。人を育てては、如何でしょうか?」
「人を育てるか……。出来る事なら、ウィスター学園から、人材を招き入れたいが……。テッカ達は、第二期生……。第一期生が卒業するのも、後二年かかる。ウルヴア学園でも良いが、テッカ達の政に、余計な口を、挟みそうだ。良し!」
俺は、筆を取り出し、紙に、でかでかと文字を書く。
身分問わず、才有る者を、広く求む!
やはり、アルサの言う通り、俺達が直々に、一から、育てる事としよう。
貴族達が、泡を吹くぞ。
俺直属の、文官……!
満足げに、その紙を掲げていると、丁度、ヨシカが現れ、その紙を見て、目を見張る。
ヨシカは、震えた声で、
「ジャ、ジャショウ君!?あなたは、スターリーの中に、国を創るつもりですか!?」
「ぬ?何だ?藪から棒に……。俺は、王の位に、興味が無いぞ。ヨセフ達が、俺達に、どんどん仕事を寄こすから、人手が足りないんだ。だから、民の中から、広く、知恵者を集め様としているのだ」
「ウィスター学園は、まだ、卒業者が出ていませんが、ウルヴア学園が在ります!国の教育を無視し、人を集めては、それこそ、ジャショウ君が、簒奪者に成ろうと言う妄言に、真実味が帯びてしまいます!私が、然るべき人材を集め、ジャショウ君の、麾下に加えます!頼みますから、何かする時は、私に相談しなさい!!」
「けどよう……。テッカ達を、エネス地区の領主にすると決めてあるのだ。下手な貴族が来てしまったら、邪魔になる可能性があるぞ?これから先の世は、民達が、民達の為の政を、行うべきだと思うのだが……」
「その考えは、早計です!確かに、エネス地区の統治は、テッカ君達に、任す事と成りましょう。しかし!スターリーの街全体の統括は、引き続き、ジャショウ君の仕事となります!その事を踏まえ、私が!数名の適任者を、用意いたします!わかりましたか?」
「お、おう……。その口ぶりからして、テッカ達が、エネス地区を統治する様に成っても、俺は、お役目御免とは、成らないと言うのかよ?」
「当たり前でしょう!ジャショウ君以外に、誰が!スターリーの街を、統括出来ると言うのですか?」
「ヨシカがやれよ……」
「私の仕事は、人材発掘です!ジャショウ君の意も汲んで、平民達からも、人材を集めますから、余り、独断で、勝手な事をしないで下さい!!」
「ええ……。これ位、良いじゃないか……」
「ジャショウ君……。貴方は、貴族達を、滅ぼすつもりですか?貴方自身の立場も、危うい状況に有ると言うのに、これ以上、突拍子も無い事を、行わないで下さい!」
「ふへぇ……」
まったく……。
たった一文で、ここまで怒られるとは……。
だったら、何でもかんでも、俺に押し付けないで、その人材とやらに、やれせれば良いじゃないか……。
本当、大きくなるにつれて、色んな事が、やりづらくなって来たよなぁ……。




