行き詰まり、行きつく先は……!
行き詰れば、人は、出口を求める。
当然、頭を悩ませていたのは、俺達だけでは無かった。
当事者である、件の貴族達も、統制のとれぬ民を抱え、日々、やり場の無い怒りを募らせ、迷走する事となる。
国にも頼れず、団結した民達は、力で、抑え込む事も出来ぬ。
その事実が、奴等を、暴走させる事と成ったのだ。
五地区で共謀し、エネス地区への、宣戦布告……!
遂に、スターリーの街内で、一つの争いが、勃発する事と成ってしまったのだ。
ヨセフを退き、王位簒奪を目論む、悪しき簒奪者……!
誰でも無い!
俺の事を、言っているのだ。
阿呆な、奴等だ。
俺をターゲットに、襲撃は、速やかに行われた。
奴等は、改心して、エネス地区と足並みを揃え、スターリーの民の為に、尽力を尽くしたいと嘯き、大量の、貢を入れたと言う馬車を従え、我が屋敷へと訪れたのだ。
愚かな連中だ……。
既に、奴等の計画は、俺やヨセフの耳にも、入って来ている。
馬車の中には、精鋭五十名の、戦士達。
屋敷の入ったと同時に、一斉に現れ、子供達を、人質に取ろうというのだ。
許せる筈が無い!
子供達は、既に、屋敷の中へ……。
門を守る、イフリートとラーマが、素知らぬ顔で、馬車を、中庭へと通す。
時は満ちた!
俺は、貴族達を睨み、冷淡に笑う。
「覚悟は、出来ているのだろうな?」
震える貴族達……。
俺に睨まれ、蛇に睨まれた蛙の様に、冷や汗を流し、俯き震える。
どうにか、声を振り絞り、
「ジャショウ殿下におきましても、ご壮健のようで何よりです……」
俺を、殿下と呼ぶか?
なんと、白々しい!
俺は、凶悪な笑みを浮かべ、
「残念だが、全て、筒抜けだよ……。戦は始まった!貴様等の屋敷には、既に、我が兵が、制圧に向かった所だ!お前達も、ここで死ね!!」
俺は、馬車に向かって、紅蓮の炎を放つ!
燃え盛る馬車から、何人もの男達が、火だるまになって、転げる様に、飛び出してくる。
それと同時に、イフリートとラーマが、気焔を纏う!
残りの馬車も、イフリートの炎で、焼失する!
炎の中で、何人もの男達が、踊るように、もがき苦しむ。
俺は、冷笑を浮かべたまま、
「さて……。お前達も死ぬか?」
貴族達の腕が、一瞬で、空に飛ぶ!
腕の次は足が!
あっという間に、大地に転がり、貴族達は、芋虫の様に、身をくねらせながら、必死に俺の方を向く。
火柱となった肉塊が、俺の姿を、煌々と照らす。
俺は、微笑をたたえ、
「言い残す事はあるか……?」
俺の問いに、貴族達は、涙や涎、鼻水を垂らしながら、
「ど、どうか、ご慈悲を……!」
男達の首は、ラーマの一刀のもとに、宙へと浮かんだ。
愚かな連中だ……。
さて、これで……。
スターリーの街も、風通しが、良くなる事であろう……。




