王の過ち
天界下界と、混沌とした状態にあるが、少しずつ、人々は結束し、点が線へと変わる。
線は、輪を描き、巨大な、コミュニティーへと、変貌してゆく。
輪に入れなかった者達の、悲惨な状況。
例の、五人の、貴族達だ。
俺を出し抜き、他の貴族に取り入り、包囲網を、創ろうとした。
それが、今となっては、完全に孤立し、民を抑える事も叶わず。日夜、貴族達の、退位を求めるデモが、頻発している。
限界であろう。
だからと言って、俺が、何かしてやれるかと言えば、何も出来ないのだが……。
実に、頭が痛い。
過ちは繰り返す……。
奴らは、他人の失敗から、学ぶ事が出来ないのだろうか……?
今日も今日とて、ヨセフに呼ばれた。
奴等の所為で、スターリーの治安も、ずいぶんと、悪くなってしまったからなぁ。
ヨシカとヨーレスを従え、玉座の上で、険しい顔をしているヨセフ。
相当、ご立腹の様だ。
俺は、ヨシカ達と、顔を見合わせ、肩をすくめる。
ヨセフは、玉座を、指で三度叩き、
「ジャショウ君……。参ってしまったよ。どうするべきかな?」
「今度は、何の事を言っているのだ?」
大体の予想はつく。
しかし、正直、関わりたくない!
ヨセフは、俺の顔を見て、盛大な、ため息をつく。
「わかっているんだろう?彼らの事だよ」
「ははは……。彼等のことね?一年の猶予は、中途半端だったようだな?彼等を、退かせるつもりなら、年末の会議で、退かせるべきだった。猶予を与えるにしても、たった一年では、結果を出すなど、あの程度の奴等では、不可能に近い。どちらにしても、見積もりが甘かったんだよ。悪戯に、彼等を、暴走させてしまったな」
「やはり、そうかな……。今からでも、遅くは無い。引導を渡すべきかな?」
「まあ、奴等が、素直に従うだろうか?難しいところだな。王が、民に屈したと、騒ぐかもしれぬ。奴らの浅知恵は、的を射ているからな」
「往生際が悪いの間違いだろう?ボーキ達の様に、早々に、尻尾を出してくれれば良いが……」
「そう言う処は、聡いからな。恐らく一年、逃げ通すだろうよ」
「はぁ……。それでは、スターリーが、混乱したままだよ。何か、策は無いかなぁ?ジャショウ君」
はぁ……。
今更、策と言われてもなぁ……。
現状で、強固な手段を使って、奴等を、退かせる事は、可能なんだが……。
その為には、王が、過ちを認めなくちゃならない。
やれやれ……。
本当に、何か、害にならないが、致命傷となる失策を、奴等が、やってくれれば良いが……。
その考えは、甘すぎるかなぁ……?




