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天翔雲流  作者: NOISE
喰らうは誰か……?
1512/1792

椅子取りゲーム

 あの、五人の貴族の暴走は、止まる事を知らない。

 他地区との溝は、最早、埋める事が出来ず、完全に孤立。

 それでいて、自領の発展は、完全に放棄し、何とか、他地区から、金を得ようと、奮闘?いや、暴走している。

 どこかが、起業すれば、その発祥は、自領であると騒ぎ立て。どこかが、収入量を上げれば、そこは、自領の管轄だと、騒ぎ立てる。

 もう、皆、相手にしていない。

 あの、ヨセフですら、この五人を、完全に無視し、一年の猶予を与えた事を、後悔している様だ。

 ああ……。

 頭が痛い……。

 割れる様に痛い!

 何かを始める度に、あの貴族達が、干渉してくる。

 その度に、他の地区の領主達が、一向に、自分達の立場をわきまえぬ、愚か者達の事で、俺のところにまで、助けを求めに来る。

 ヨセフが、舐められていると言う訳では、無いのだがなぁ……。

 どこか、彼等は、ヨセフであれば、許されると、勘違いしている様だ。

 故に俺が、奴らの暴走の、防波堤となっている。

 この調子で、この一年……。

 俺は、目まぐるしく、方々を、走り回らなくては、成らないのだろうなぁ……。



 他地区と、一切の干渉を禁ず。

 度重なる苦情に、流石のヨセフも、完全に怒りが、有頂天に達したようだ。

 最後通告の最後通告。

 自領の発展が、望めぬ内は、決して、自領から、離れる事を許さず。

 完全に、ヨセフ達は、あの貴族達を、潰すつもりだ。

 どうする事も出来ない現状に、再び、暴走し始める、五人の貴族達。

 王でも無いと言うのに、他地区の領主を、名指しで、呼ぶようになる。

 しかし、誰も、その声に、応える者はいない。

 虚しいさえずり。

 いよいよ以て、かの者達の退位は、現実味を帯びてくる。

 空虚な、椅子取りゲーム……。

 はてさて……。

 空いた椅子には、誰が座るのかなぁ……?


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