椅子取りゲーム
あの、五人の貴族の暴走は、止まる事を知らない。
他地区との溝は、最早、埋める事が出来ず、完全に孤立。
それでいて、自領の発展は、完全に放棄し、何とか、他地区から、金を得ようと、奮闘?いや、暴走している。
どこかが、起業すれば、その発祥は、自領であると騒ぎ立て。どこかが、収入量を上げれば、そこは、自領の管轄だと、騒ぎ立てる。
もう、皆、相手にしていない。
あの、ヨセフですら、この五人を、完全に無視し、一年の猶予を与えた事を、後悔している様だ。
ああ……。
頭が痛い……。
割れる様に痛い!
何かを始める度に、あの貴族達が、干渉してくる。
その度に、他の地区の領主達が、一向に、自分達の立場をわきまえぬ、愚か者達の事で、俺のところにまで、助けを求めに来る。
ヨセフが、舐められていると言う訳では、無いのだがなぁ……。
どこか、彼等は、ヨセフであれば、許されると、勘違いしている様だ。
故に俺が、奴らの暴走の、防波堤となっている。
この調子で、この一年……。
俺は、目まぐるしく、方々を、走り回らなくては、成らないのだろうなぁ……。
他地区と、一切の干渉を禁ず。
度重なる苦情に、流石のヨセフも、完全に怒りが、有頂天に達したようだ。
最後通告の最後通告。
自領の発展が、望めぬ内は、決して、自領から、離れる事を許さず。
完全に、ヨセフ達は、あの貴族達を、潰すつもりだ。
どうする事も出来ない現状に、再び、暴走し始める、五人の貴族達。
王でも無いと言うのに、他地区の領主を、名指しで、呼ぶようになる。
しかし、誰も、その声に、応える者はいない。
虚しいさえずり。
いよいよ以て、かの者達の退位は、現実味を帯びてくる。
空虚な、椅子取りゲーム……。
はてさて……。
空いた椅子には、誰が座るのかなぁ……?




