オウムの方が、賢いな……。
「やあ、ジャショウ君。また、呼び出してしまい、済まなかったね?と言うか、前にも話したけど、ここにも、帰る場所が在るのだから、たまには、王宮にも、帰って来ておくれよ。良い酒を、用意しておくからさぁ」
「御免こうむる!で、奴等は何と?」
「ははは……。また、何時もの、泣き言だよ。散々、エネス地区に、ちょっかいを出しておいて。自分達は、スターリーの街が、無理無く発展する為に、他地区を考え、足並みを揃え様としているだけなのに、誰とは言わぬが、他地区を侵害する事を、良しと思う者を模倣し、互いに蹴落とし合っている。私の威光で、正して欲しいと」
「はあ?舐めているのか?他地区の足を引っ張っているのは、その者達であろう?それに、どこの誰とは言わないが、その者達の地区を除けば、皆、助け合って、発展している。そんな、下らない讒言の為に、俺を呼んだのか?」
「ははは……。まさか。彼等には、今、ジャショウ君が言った事を、そのまま言って、怒鳴り飛ばしてやったよ。和を乱しているのは、お前達の方だって!そしたら、彼等は、何と言ったと思う?」
「はあ?馬鹿の考える事など、俺には分からん!」
「うん。馬鹿な事だったよ……。国王陛下は、どの様な発展を望んで、私達に、何を望んでいるのですかって……」
ああ……。
完全な、馬鹿だ……。
年末の会議で、散々罵られ、言われていたであろう。
スターリーの街の、受け皿を広げ、人口の増加。
それに伴い、仕事を増やし、外国との貿易で、スターリーを、発展させる。
ヨセフもヨシカもヨーレスも、散々、言っていたであろう。
五回言ったあたりで、俺は、聞くのを止めたが……。
アイツ等、何を聞いていたんだ?
何に対して、謝っていたのか?
一体何を、ヨセフに誓ったのか?
俺の、呆れかえった顔を見て、ヨセフは、苦笑を零す。
「まあ、今、ジャショウ君が、考えている事と同じ事を、私も思ったよ……。それで、オウムでも、人の言葉を覚えるのに、君達は、私達が言った事を、一言も、覚えていないのか!って、怒鳴り飛ばしてやったよ」
「で、奴等は?」
「年末の、会議と一緒さ。何も言い返せず。何も答えられず。俯いたまま、震えていたよ」
「そりゃあ、ご愁傷様。いっその事、オウムでも、領主に据えたら、少しはまともな、統治をしてくれるんじゃねえか?」
「ははは……。私も、そう思っている所だよ。一年の猶予は、与え過ぎたかもなぁ。どうせ、退かせるのだから」
「まだまだ、ヨセフも、甘いな。セナの代に成るまでに、どうにかしなくてはな。今後の、俺達の課題だ」
「ああ、本当、頭が痛いよ……」
ヨセフとヨシカと俺……。
顔を見合わせ、ため息をつく。
セナにも、馬鹿な貴族に負けない、強い王に、成ってもらいたいなぁ……。




