国務であるぞ
案の定、ヨセフは、この暴挙に対し、呆れかえり、激怒した。
件の貴族は、すぐさま、王城に呼び出され、
「スターリーの文化を、停滞させたいのか!!」
貴族に対して、罵声を浴びせる!
貴族は、震えながらも、
「お、お待ちください!私はただ、古き伝統を、重んじる為に、貴族の一人として、曲解されて、演じられる劇を、正そうとしただけの事です!退廃的な劇や、一部の人間を、神格化させるような劇は、ヨセフ国王陛下の威光を、妨げる恐れがあります!故に、恐れながら、私めが、国王陛下の、目と成ろうとしただけの事です!」
「余計なお世話だ!他地区の住民にまで、金を要求して!明らかな、妨害行為だぞ!それに、その様な事をするのであれば、それは、国務に該当する!何故、貴様に、金を払わなくてはならないのだ?」
「お、恐れながら……。私は、古今東西、あらゆる劇に、見識が在ると言う、自負があります。故に、他の者達に代わり、歪み切った現状を、正そうと……」
「何が、自負だ!碌な統治もせず、遊び惚けていただけだろうが!話に成らない!ジャショウ君!君は、どう思う?」
「はあ……。私としては、この男の妄言に、付き合うつもりはありません。そもそも、国務として、行なわれると言うのであれば、謹んで、その政策に、協力しますが……。何故、他地区の政策に、従わなくては、成らないのですか?我がエネス地区は、一エルたりとも、払うつもりはありません!よって、今後も、シャルル劇団を始めとする、各劇団、芸人達には、自由に、技を磨いてもらうつもりです。本日、謁見を望んだのは、我が地区に、土足で踏み入る輩を、排除する為です。そこに居る男には、今後一切、我が地区への出入りを、固く禁ずる事を、ヨセフ国王陛下の名の下に、厳命して頂く事を、強く望みます」
「分かった……。それでは、ボーキ伯爵!君の、自分の地区での政策に、私は、これ以上、何も言わない!しかし、エネス地区への干渉と、出入りを、固く禁ずる!今後、自分の立場を考え、行動するのだな」
「お、お待ちください!?それでは、この政策は、意味を成しません!他地区と共に、足並みを揃え!」
「そうであれば、国家としての、政策に成ろう?為らば、然るべき人材を当て、国務として、政策をまとめる!君の手を借りる、必要は無いよ」
「くっ……」
やれやれ……。
着眼点と、考え方は、分からなくも無いが……。
我が地区を敵に回した事は、愚かだったな……。
さてと……。
可哀そうだが、止めを刺すか……。




