ホレス……!
空が、紅に染まる……。
ふむ、俺もまだ、不完全と言う事か……。
夕日が沈む、何気ない風景……。
しかし!
全ては、まやかしである。
俺は、時間と言う概念から離れ、狂人の下へと向かう!
ホレス……!
狂気に、目を爛爛と輝かせた、醜い男の姿が、そこにはあった!
俺は、詰まらぬモノを見る様に、冷淡に見下し、
「成程な……。あの個体は、消滅させたが……。バックアップを、取っていたか。現在過去未来、あらゆる場所から、消滅させたつもりであったが。並列した別世界の中に、分身となる種を、蒔いていたか……」
「貴様、貴様!貴様ぁ!!」
怒り狂う、ホレス……!
やれやれ……。
あの道化が、見る影も無い。
今度は、種も含めて、消滅させるか……。
ホレスが、咆哮を上げ、襲い掛かる!
しかし、無意味!
俺に、触れる事も叶わず、ホレスの存在は、消滅してゆく。
ホレスは、憎々し気に、俺を睨み、
「私が、消滅しても、貴様に、安息の時は無い!朧の影が、必ず、お前を喰らう!あははは!お前は、喰らわれるのだ!お前がお前を、喰らった様に。お前はお前に、喰らわれるのだ!!」
「はっ!言ってろ……!俺は、誰が来ようと、朧達と共に、闘うまでだ」
ホレスの顔が、醜悪に歪む。
「口惜しや……。世界の、イレギュラー共が……!並行世界に、存在を持たない、唯一の存在……!貴様等を、倒すに値する存在を、見つける事に、どれだけの、労力を有した事か。化け物共め!必ず、私を消滅させた事を、悔やむ時が来るぞ!必ずだ!!」
ホレスの、最後の一欠けらが、青い炎を上げて、消滅する。
俺達の分身ねぇ……。
まだまだ、俺達は、強く成れると言う事か……。




