世界を創りし……!
「おめでとうございます♪貴方は、選ばれたのです♪」
モノクロの世界……。
タキシード姿の、浅黒い男が、妖艶に笑い、俺に、手を差し伸べる。
底知れぬ、力を感じる……!
こいつは、誰だ?
俺は、全身から、冷汗が噴き出し、警戒色を高める。
俺と互角……?
いや!
それ以上の可能性も……!
俺は、深く息を吐き、男を見定める。
「貴様は、誰だ……?」
「おやおや?恐怖に呑まれず、現状把握をしようと?益々、合格です♪私は、ホレス。世界を産みし、偉大なる、もう〝一つ〟の、貴方様に、お仕えする者ですよ♪」
「世界を産みし、もう一つの俺……?世界を創ったのは、母やナビ子達だぞ?何時、俺が、世界を創った?」
「ははは!それは、貴方達の、感覚です。では、貴方の母を造った者は?この世界が存在する、空間を造った者は?答えは、未来のあなたです!未来のあなたが、何故、過去に干渉するか?それは、簡単な話です♪時間と言う概念は、貴方方の感覚なのです。超越者は、あらゆる概念に、干渉されません!それ故に、貴方が生まれ、貴方が育ち、貴方が、貴方を超える!もう直ぐ、完成するのです。貴方方の言う、時間と言う概念で計算すれば、無限とも言える、途方も無い時間の中で、人の形を保つ、超越者が!」
「超越者……?」
「はい♪超越者です♪もっとも、貴方が敗れ、逆に、取り込まれる可能性の方が、圧倒的に、高いのですが……。貴方は、その試練を受ける、栄誉が与えられたのです♪」
ホレスと名乗った男は、道化師の様に、大袈裟に手を広げ、恭しく、頭を下げる。
それに合わせて、時空が歪み、何体もの、口だけの白面の者が現れ、軽快に、ラッパを吹く。
狂気じみた光景……。
ホレスもまた、狂気じみた笑顔を浮かべ、
「それでは、ご対面いたしましょう!この方が、もう一つの貴方様です♪」
時空が歪む!
無……?
いや!
感覚が、麻痺させられるほどの、膨大な〝力〟!!
瘴気でも無い!
霊力でも無い!
純粋な〝力〟
それは、姿を現し、有無も言わさず、俺の中へと、雪崩れ込んで来る!!
何なんだ!?
一体……?
俺は、膨大な力の中で、もがき苦しむ。
意識が……。
意識が、奪われそうだ……!
しかし、ここで、意識を失えば、俺は、全てを失う!
俺は、本能的に、察知する。
畜生……。
一体、何だと言うのだ……?




