閑話 異邦
「おやおや……。神聖なる神が、お目覚めと成られた様だ……。始まりの神。絶対なる神……。お迎えに上がらなければ」
幾つもの、世界の狭間……。
何も無い世界に、混沌が、集約される。
蠢く、肉塊……。
それを、愛おしそうに守る、美しき男性……。
男は、肉塊を、愛おしそうに撫で、
「もう直ぐですよ……。もう直ぐ、もう一人の貴方様が、ここにやってくる……。絶対なる王よ。貴方様とは違う、進化を遂げた、人と寄り添う、異常の神……!そう、貴方様とは違う……。人の醜さを憎み。人の光に縋る。その為に、数多の世界を創生した。何と壮大で、愚かな行為でしょう。さて、次の貴方様は、どう言う方でしょうか……?」
罵声ともとれる、男の言い様に、異界の肉塊は、触手を伸ばし、男を締め上げる。
男は、もがき苦しみ、
「分かっております……。貴方様は、一であって全!今回の候補者も、貴方様が、全て、喰らい尽くしてしまうのでしょうね……」
混沌とした世界で、混沌とした生物が、蠢き、嘲笑うかの様に、不気味な声が、響き渡る……。
創生の神が、次に、標的と定めた者は……?
光でも無い、闇でも無い、混沌の申し子。
全てを喰らうは、誰の定めか……?




