本当に、良い奴なんだがなぁ……。
まあ、正直、イーラと言う少女は、悪い奴では無い。
シスコンを、拗らせているが、勇者パーティーで、人々の為に、命がけで、戦っていたのだ。
悪人の筈が無い。
現に、シルフィールの者達とも、直ぐに打ち解け、小さな子供の面倒まで、見てくれている。
キリカ達、子羊の嘶き亭の者達とも、良好な関係を、築いてくれている。
それに……。
「ちょっと、あんた!まだ、仕事が、終わり切っていないじゃ無いの!五日後には、キリカさん達と、忘年会をするんでしょう?仕方が無いわねぇ」
ニーナと同様、あちらの世界で、賢者と呼ばれただけの事は有る。
俺達の仕事を見ただけで、要領を把握し、領主仕事を、手伝ってくれた。
そう……。
姉が関わらなければ、本当に、頭が良くて、気が利く、姉御肌の、良い少女なのだ。
少々、強引に、俺の館に、住みこむ様に成ったが。しっかり、恩義も感じている様で、率先して、色んな仕事を、手伝ってくれる。
俺自身、イーラの事を、シスコンだとしか、認識していなかったのだが。こうして、接していく内に、互いの、わだかまりが薄れ……。
いや……!
互いに、理解し合い、ニーナの事で、談笑する事もしばしば。
エネス地区の運営に関しても、彼女を頼る事が、多くなった。
その結果……。
「な、何!?この力……!」
イーラとも、金色の誓いが、結ばれる事と成った。
俺は、優しく笑い、
「俺の、固有スキルだ……。俺と契約が出来た者は、膨大な力を、得る事が出来る。それに……」
「まだ、何かあるの?」
「ああ……。死した後、我が下で、永遠に、暮らす事が、約束されている。ニーナとも、契約は為されているから。お前の好きな、姉と共に、永遠の時を、過ごす事が出来ると言う訳だ」
「うそ!マジ!?姉さんと、永遠に過ごせるの?あんた!こんな力が有るのなら、もっと早くに、言いなさいよ!」
「いやぁ……。まさかお前と、契約する事に成るとは、思っても居なかったからなぁ。まさか、俺を、信頼してくれるとは……」
「べ、別に、あんたの事を、信頼してるとか!?た、ただ、あんたは、悪い奴じゃ無いし。あっちの世界でも、姉さんを、助けてくれたし。こっちの世界でも、姉さんの事は勿論の事、私にも、良くしてくれるから!!感謝はしているわよ!感謝は!!」
「ん?そうか。俺も、イーラ達には、助けてもらっているからな。こうして、契約が結べて、嬉しく思うよ。だから、まあ、何だ……。イーラ!シルフィール家に、ようこそ♪」
「え、ええ。まあ、何……。こちらこそ、これからも、よろしく頼むわ。それでその……。家族に成ったついでに、私、姉さんと、相部屋にして欲しいのだけど?」
「何故、今の話から、そう言う話になる?」
「だって、姉さんを、少しでも近くで、見守りたいんだもん!」
「却下だ!却下!!」
まったく、このシスコンは……。
頬を膨らませる、イーラ……。
本当、悪い奴じゃ、無いんだがなぁ……。
ニーナの貞操を守る為、今後も、見張っている必要が有るな……。




