誠実なビジネスの筈?
ヨハネスが、高揚した顔で、
「あの!この様な、一大事業を任せて頂き、私達は、ジャショウ様に、何をお返しする事が出来ますか?」
何を言っているんだ?
俺は、首を傾げ、
「ふむ?ヨハネス達からは、十分、多くのモノを、還してもらっているが……?」
「は?な、何を?」
「何をって……。フリュクベリ商会を復活させた時、約束しただろう?誠実な仕事をし、他国の信頼を勝ち取る!君達のお陰で、エネス地区の評判は、内外に、響き渡っている!この調子で、人々の信頼を、勝ち取って欲しい。スターリーに、エネス地区在り!なんて、ちっぽけな評判じゃ無く。アルシファードに、エネス地区在りと言われる様に、これからも、頑張ってくれ!」
「アルシファードに、エネス地区在り……」
ヨハネスは、真っ赤な顔で、その身を震わす。
セバスは、そんな、ヨハネスの肩を叩き、
「若!言った筈でしょう?サルスフォードなど、この方を前にすれば、赤子に等しいと!フリュクベリの名を、世界に轟かせましょう!そして、エネス地区の為!ジャショウ様の為!我等は、我等の信念を、貫き通すのです!」
「あ、ああ!サルスフォード……。なんと、ちっぽけな人間に、私達は、怯えていたのだろう?ジャショウ様と共に働けることが、これ程、重圧で、胸踊らされる事とは!セバスよ!我等の信念、この方の下で、貫き通そうぞ!」
「その意気です!若!」
何だか知らんが……。
ヨハネス達が、何時にも増して、やる気に満ちてしまった。
そんな、ヨハネス達を見て、ヨルブン達は、満足げに笑う。
ヨセフ達は、盛大に、ため息をついているが……。
ヨルブンとロンベルは、ニヤニヤ笑い、
「やはり、ジャショウ殿は、兄上殿に、よく似ておられるな!」
「まったくだ!ヨルム様も、共に歩む者に、光の道を、指し示してくれたものだ!」
「俺は、あんな、狸ジジイとは違う……」
皆、豪快に笑う。
まったく、どいつもこいつも、人の事を、謀略家の様に語りおって……。
俺は、誠実に、ビジネスを、行なっているだけなんだ!




