重荷……。
失った信用と言うモノは、簡単に、取り戻す事は出来ぬ……。
バーサス国の動乱……。
王位を巡って、元国王ラフナトと、エルケットが、諸国を巻き込み、激しく争う事となる。
まあ、勝敗は、決まっているし。ラフナトの後援国である、ニカイア国は、巻き込まれる形で、余り、この争いに、乗り気では無い。
魔王領より、遠く離れた、バーサス国ですら、魔族の蹂躙にあったのだから、自国の防衛に、力を注ぎたいのだろう。
その上、エルケットを支持する者は、内外に、多く存在する。
また、エルバート国を始めとする、諸外国は、エルケットを王と認め、交易を、始めているからだ。
ここで、ラフナトを支持し、バーサス国を攻めれば、多くの国を、敵に回す。
特に、隣国である、レーザル聖帝国は、ニカイア国の行動によっては、攻め込んでくる事と成ろう。
故に、ニカイア国は慎重に、この騒動と、元バーサス国の王族を、監視している様だ。
ニカイア国とて、何の見返りも無く、隣国の王族を、預かったりなど、する筈も無く。
勿論、打算があった。
ラフナトが、王に返り咲いた暁には、自国優位の条件で、貿易を再開するつもりだったのだろう。
しかし、ニカイア国の力では、魔族に対抗出来ず。結局、アルバート国の軍事力を以て、バーサス国の平安は、取り戻されたのだ。
今後の情勢を鑑みるに、強固な手段に、出る訳にはいかない。
故に、慎重に慎重を重ね、話し合いと言う形で、決着を付けようとした。
勿論、ラフナトの、王位復活は、絶望的だろう。
正直、ニカイア国にとって、ラフナト一族は、重荷でしかない。
もう少し、ハッキリと言えば、邪魔な存在なのだ。
しかし、ラフナト達は、分かっているのだろうか?
バーサス国に戻ったとしても、付き従うものは居らず。恐らく、今回の虐殺の罪を問われる事と成ろう。
はたして、どうやって、決着をつけるつもりなのだろうか……?




