同盟国故に……。
苦しい戦況は続く……。
バーサス国は、阿鼻叫喚の地獄に変わり、そこから、後方の国々が、魔族の脅威に、脅かされている。
今日も今日とて、バーサス国からの、救援を求める使者が現れ、
「お願いですから、お救い下さい!このままでは、我が国が、滅びてしまいます!」
フィリス三世は、嘆息を漏らす。
使者を睨み、
「我が国に、そんな余力が、有る訳が無かろう?オールド帝国を始め、前線国は、魔族の猛攻に、混戦状態。その上、お主等の国が、魔族の侵攻を許したために、我が国も、防衛を強化せねばならぬ!儂は、散々、警告した筈じゃぞ?それを、他国を悪戯に脅し、我が国が、権力を得ようとしていると、糾弾したのは、お主等の国だろう?助けてやる義理も無ければ、余力も無い!自力で、何とかするのだな」
「全ての非を認めます!今後、エルバート国に従い、魔王討伐に、尽力を尽くしますから、どうか、お救い下さい!それに、我が国が救われれば、後方からの魔族の脅威は、無くなるではありませんか!フィリス三世国王陛下には、公正で寛大な采配を、下して下さることを、強く求めます」
「為らん!これが、公正な判断じゃ!オールド帝国、レーザル聖帝国、アズーラ国、三国に援軍を派遣し、残された兵で、自国を守っているのだ!これ以上、兵を、分散する事など、出来る筈か無かろう。バーサス国も、何カ国かと、儂等と対抗し、同盟を結んでおるのだろう?その国々に、助けを求めれば、良いでは無いか」
「そ、それは……」
残念だが、出来る筈が無い。
先述述べたが、貿易の際に、魔物の被害を受け持つ代わりに、法外な金額を、他国に、吹っ掛けていたのだから……。
いざ、魔物が現れたら、対抗できず、助けを求めるなど、今後の貿易に、支障をきたしてしまうだろう。
それどころか、国の信頼に、関わって来る。
同盟国だからこそ、助けを求められない。
如何にお粗末な、政を行って来た事か。
バーサスの使者は、言葉をつぐんでしまう。
恐らく、この難局を、乗り越えた所で、バーサス国の信頼は、失墜してしまうだろう。
それどころか、国として、存続できるのだろうか?
哀れな道化には、御退場願おうか……?




