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天翔雲流  作者: NOISE
こうして世界は、光に包まれた
1440/1794

それぞれの結末

 泣けてくるねぇ……。

 ジェフィール達に、子供を作られては困ると、別室で幽閉。

 薄暗い、幽閉塔の中から、狂人の声が、日夜、木霊していると聞く。

 未だ、王太子の地位を主張する、ジェフィール……。

 壁のシミと会話し、かつての美貌も失い、日々、やつれてゆくリムサ。

 フィリス三世の心労は、いか程のモノか?

 殺してしまえば、楽に成る……。

 しかし、それが出来ぬは、親の性が。

 何にせよ、奴等は終わった。

 ガイア達と言い、ジェフィール達と言い、殺せぬ味方ほど、厄介なモノは無い。

 今日も、薄暗い幽閉塔からは、

「私は、第二十一代国王、フィリス四世であるぞ!私に害する者は、全て悪だ!」

「畜生!俺は、勇者なんだ!聖剣を返し、今すぐ、ここから出せ!!」

 狂人達の、叫び声が、木霊する。

 救いが無いなぁ……。

 アイツ等の目には、何が映っているのか?

 愚者に問うた処で、答えなど、返って来る筈も無く。

 考えるだけ、馬鹿らしいか……。



 アーニャの実家、ログブルク家から、招待を受けた。

 何と言う事も無いのだが、アーニャの名誉回復と、あの馬鹿王子の廃嫡を祝い、会食会を開くと言うのだ。

 少々、不敬であるな。

 まあ、アーニャ達は、それだけの、被害を受けたのだが……。

 アーニャの父、ストーは、手を広げて、俺を抱きしめる。

「良く、お出で下さいました!漆黒の風、ジャショウ殿!」

「え、ええ、本日は、お招き、感謝いたします。ストー様も、この度の騒動で、心を痛めていたと聞きます。しかし、思う事があるでしょうが、どうか、国王陛下の御心労も、心に留めておいて下さい。息子を斬り捨て、アーニャ様を、選んで下さったのですから」

「そうでありましたな……。アーニャの護衛に、ジャショウ殿達を付けて下さったのは、国王陛下であった。感謝しなくてはな」

 俺とストーは、肩を並べて歩く。

 まあ、軽い、会食会だ。

 最低限の礼節を守り、それ程、気負う必要も無いか。

 丁度良い機会かもしれない。

 マヤ達が、俺達の世界に来ると為れば、あの国王陛下達と、少なからず、関わる事に成るからな。

 予行練習の様なモノだ。

 何はともあれ、様々な事を、経験しておく事は、悪い事ばかりでは、無いか……。


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