それぞれの結末
泣けてくるねぇ……。
ジェフィール達に、子供を作られては困ると、別室で幽閉。
薄暗い、幽閉塔の中から、狂人の声が、日夜、木霊していると聞く。
未だ、王太子の地位を主張する、ジェフィール……。
壁のシミと会話し、かつての美貌も失い、日々、やつれてゆくリムサ。
フィリス三世の心労は、いか程のモノか?
殺してしまえば、楽に成る……。
しかし、それが出来ぬは、親の性が。
何にせよ、奴等は終わった。
ガイア達と言い、ジェフィール達と言い、殺せぬ味方ほど、厄介なモノは無い。
今日も、薄暗い幽閉塔からは、
「私は、第二十一代国王、フィリス四世であるぞ!私に害する者は、全て悪だ!」
「畜生!俺は、勇者なんだ!聖剣を返し、今すぐ、ここから出せ!!」
狂人達の、叫び声が、木霊する。
救いが無いなぁ……。
アイツ等の目には、何が映っているのか?
愚者に問うた処で、答えなど、返って来る筈も無く。
考えるだけ、馬鹿らしいか……。
アーニャの実家、ログブルク家から、招待を受けた。
何と言う事も無いのだが、アーニャの名誉回復と、あの馬鹿王子の廃嫡を祝い、会食会を開くと言うのだ。
少々、不敬であるな。
まあ、アーニャ達は、それだけの、被害を受けたのだが……。
アーニャの父、ストーは、手を広げて、俺を抱きしめる。
「良く、お出で下さいました!漆黒の風、ジャショウ殿!」
「え、ええ、本日は、お招き、感謝いたします。ストー様も、この度の騒動で、心を痛めていたと聞きます。しかし、思う事があるでしょうが、どうか、国王陛下の御心労も、心に留めておいて下さい。息子を斬り捨て、アーニャ様を、選んで下さったのですから」
「そうでありましたな……。アーニャの護衛に、ジャショウ殿達を付けて下さったのは、国王陛下であった。感謝しなくてはな」
俺とストーは、肩を並べて歩く。
まあ、軽い、会食会だ。
最低限の礼節を守り、それ程、気負う必要も無いか。
丁度良い機会かもしれない。
マヤ達が、俺達の世界に来ると為れば、あの国王陛下達と、少なからず、関わる事に成るからな。
予行練習の様なモノだ。
何はともあれ、様々な事を、経験しておく事は、悪い事ばかりでは、無いか……。




