それぞれの末路……。
何度、ざまあされれば、気が済むんだ?
元馬鹿王子達は、学園を、強制退学。
そして、マコールは、王子同様、スカナール家から、追い出される事と成った。
まあ、簡単に言えば、勘当だ。
スカナール家の後ろ盾を失い、日々、復讐を恐れ、エネッサの街から、姿を消した。
話を戻し、ジェフィール……。
あの後、弁明を望み、元父親である、フィリス三世に会おうと、王城に押しかけた。
まあ、勿論の事、その場で捕縛され、牢屋へ逆戻り。数週間、臭い飯を食べながら、懲罰を受けて、ボロボロの体で、こちらも、エネッサの街から、追い払われたと聞く。
最後に、リムサ……。
彼女は、兎に角ヤバイ!
なんせ、盗賊ギルドを、敵に回してしまったのだから……。
ダヴィーの怒りは、尋常では無かった。
どうにか、盗賊ギルドの、面目は保たれたが、リムサの侫言で、危うく、ログブルク家を敵に回すところだったし。あの断罪パーティーで、小汚い爺と、罵りまくったからな。
その結果、彼女は、実家であるアネール家から、一歩も外に、出る事が出来ない様だ。
その上、敵は、大勢いる。
アーニャの父親、ストー公爵も、娘を傷ものにされそうになり。その上、ログブルク家に、泥を塗ろうとしたのだ。男爵家である、アネール家は、とてもじゃ無いが、払いきれぬ、膨大な賠償金を、請求される事と成った。
勿論、それに乗じて、リムサに恨みを持つ、名家の者達が、アネール家を、袋叩きにしている。
リムサが、アネール家を追い出されるのも、時間の問題であろう。
その後、どうなるかは、考えたくも無い。
何にせよ、ジェフィールとリムサは、王命で、強制的に結婚させられる。
あの二人は、この先、どうやって生きていくのだろうなぁ……。
まあ、良かったじゃ無いか。
リムサは、全てを持っているアーニャから、お望み通り、ジェフィールを貰ったのだから。
何はともあれ、俺達も、依頼を達成した。お役目御免と成り、冒険者に、戻りたいのだがなぁ……。
契約期間は、一年……。
まだ、しばらく、アーニャお嬢様の、面倒を見なくては成らないのか……。
平和と成った、ノーシャリオ学園……。
俺は一人、廊下を歩く。
対面からは、ネクスが……。
俺は、気さくに笑い、
「これは、ネクス様。貴方の忠告のお陰で、アーニャお嬢様の名誉を、守る事が出来ましたよ」
「もう、私には、関係の無い事だ。ただ……。あの場に、私が居なかった事を、心底、安堵しているよ。もしも、あの場に、私が居たら、どうなっていた事か……」
「多分、大丈夫でしょう?貴方は、ジェフィール達と一緒に居ましたが、何処か、距離を取っていた様に思えましたから」
「ははは……。全て、お見通しか……。私は、父の命令で、ジェフィール達と、接触していただけですから。最近に成って、父は慌て、ジェフィール達と、関係を断つ様に、言ってきました。それより少し早く、行動に移したまでですよ」
「ネクス様は、ご聡明な様で」
「貴方に言われても、皮肉にしか聞こえませんよ。私が忠告しなければ、ジェフィール達は、もっと悲惨な末路を、送る事と成ったでしょう?愚かと笑って下さっても結構です。少々、彼等に、情が湧いていたのかも知れません」
「彼等の暴挙は、褒められたモノではありませんが……。形だけでも、共に、学園生活を送った仲間。ネクス様の心情は、人間らしくって、私としては、好感を覚えます」
「人間らしいか……。私にも、そう言った部分が、有ったんですね……」
ネクスは、自嘲気味に笑う。
俺は、優雅に一礼し、
「歪めず、その心を、大切にして下さい……。人は、一人で生きられる、存在ではありませんから……。それでは……」
俺は、そこまで言うと、ネクスの横を、通り過ぎる……。
ネクスは、ため息と共に、
「儘ならぬ生き物だな……」
その一言を残して、立ち去って行った。
俺は、その言葉を聞き、心で笑う。
それ故に、人は悩み、生きるもの……。
ネクスよ……。
大いに悩め。
俺達は、操り人形じゃ無い。
お前が、人である為には、今はただ、後ろを振り返り、悩む時なんだよ……。




