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天翔雲流  作者: NOISE
こうして世界は、光に包まれた
1429/1794

王太子?(笑)

 ノーシャリオ学園に潜入し、早、一週間……。

 フィリス三世には悪いが、ジェフィールと言う男は、碌でも無い男の様だ。

 そして、その取り巻きも……。

 マーキン・スカナール侯爵が息子、マコール・スカナール。

 武術、勉学共に、そつなくこなす、秀才タイプの男。

 ただし、ナンパな男で、常に、女性間のトラブルを、多く抱えている。

 続いて、グィッパー・ヨートルダム伯爵が息子、ネクス・ヨートルダム。

 学園内では、天才的な、魔法の使い手で、少々、内向的。

 まあ、あくまで、学園内での実績であるが……。

 最後に、近衛隊長が息子、ボルト・フォルネ―ル。

 面倒臭い……。

 一言で言えば、筋肉馬鹿だ。

 そして、王太子を含め、この四人を垂らし込んだ女の名は、リムサ・アネール。

 家は、男爵家と聞くが……。

 脳味噌、お花畑。アーニャに、苛められていると、主張している。

 ハッキリ言うが、現実問題、そんな事実は無い!

 と言うか、アーニャに、そんな暇は無い!

 早朝から、王妃と成るべく、勉学に励み。授業が終われば、俺達を連れて、図書館に缶詰。

 俺達が来る前も、他の生徒に、勉学を教えていたと聞く。

 その上、その人柄から、人気が高く、多くのお茶会に、出席している。

 一段落着いたら、学区内の、教会に赴き、神に祈りを捧げ、身分を気にせず、学園の食堂で、他の生徒と共に、食事を食べる。

 その後、身を清め、授業の、予習復習をし、十時には、消灯……。

 リムサとか言う女はおろか、王太子(仮)とも、交流を持っていない。

 アリバイは完璧。

 完全な、白だ。

 それでも、あの王太子(笑)は、理解出来ない様だ。

 リムサと言う女と、取り巻き三人を連れて、放課後の図書館に、乗り込んで来る。

 颯爽と登場し、

「アーニャ!リムサに対する、陰湿な苛めを止めるんだ!!」

 何言ってるんだ?コイツ……。

 他の生徒達も、眉を顰める。

 アーニャは、完全に無視。

 王太子……。

 ああ!もう!

 こんな馬鹿を、王太子と呼ぶのも馬鹿らしい!

 ジェフィールは、そんな、アーニャの対応に怒り、顔を真っ赤に染め、

「アーニャ!!」

 力任せに、アーニャの手を掴もうとする!

 だが……!

「はいはい……。女性に暴力は、よろしく無いですよぉ」

 俺が、その手を、はたき飛ばす!

 軽くやったつもりだが、ジェフィールの手は、真っ赤に腫れ、

「貴様!私を、誰だと思っているのだ!?」

「あ?浮気者の、馬鹿王子だろう?」

 俺の言葉に、図書館内に居た生徒達が、爆笑する。

 ジェフィールは、そこまで赤く成るのかと言うほど、顔を真っ赤にし、

「わ、私は、この学園の、秩序を守る為!」

「馬鹿か?秩序を乱しているのは、お前達の方だろう?お前、鏡に向かって、喋っていろよ?」

「貴様!!」

 ジェフィール達は、怒りに震えるが、周りの笑い声は、大きく成るばかり。

 俺は、呆れた顔で、

「はぁ……。そこのお嬢ちゃんが、家のお嬢様に、何時!何処で!何をされたのか、証拠と一緒に、言ってもらうか?」

「証拠だと?この、ズタズタに切り刻まれた、ノートが目に入らないのか!!」

「物的証拠ですか?まあ、そちらの女性が、偽造する事も出来るモノですよね?それでも、証拠とすると仮定して、何時!何処で!お嬢様が、その様な事をなさったと、結論付けたのか、お話し願おうじゃないですか!」

「い、何時と言うのは……。正確な時間までは、分からん!愛しのリムサが、部屋に帰った時には、既に、こうなっていたのだ!」

「それでしたら、何故!お嬢様がやったと、言い切れるのですか?」

「それは……。リムサが、アーニャがやったと……」

「答えに成ってません!そもそも、家のお嬢様には、完全な、アリバイがあります!授業が終わった後は、ご学友と、お茶会をし。その後すぐに、図書館で、勉強会!それが終われば、教会に行き、礼拝をし。ご学友達と、食事を取り、門限の時間と成ります!部屋に戻った後は、身を清め、貴方方とは違い、授業の予習復習をし、消灯いたします!その間、お嬢様が、お一人に成る時間はありません!何故!お嬢様がやったと、言い切れるのですか?」

「それは……」

 押し黙る、ジェフィール……。

 残りの三人も、気まずい顔で、顔を見合わせている。

 しかし、リムサと言う女だけは、

「そんなの、あんた達が、口裏を合わせているだけじゃない!ジェフィール様!私、このままじゃ、怖くて、怖くて……」

「ああ、大丈夫だよ、リムサ!リムサの言う通り、お前の言う事など、何のアリバイには成らない!」

「馬鹿なんですか?貴方方は……」

 俺は、心底呆れた顔で、ジェフィールを見詰める。

 ジェフィールは、再び、顔を真っ赤に染め、

「貴様は、王太子である私に、何度馬鹿だと言えば、気が済むのだ!訂正しろ!」

「馬鹿を馬鹿と言って、何が悪い?自分が、王太子であると言う自覚が有れば、少し考えれば、分かるだろう?」

「何……?」

 コイツ、本当の馬鹿なんだろうか?

 フィリス三世には悪いが、文武両道と言うのも、怪しい物だ。

 俺は、最大にため息をつき、

「あのなぁ……。王太子が、自由に、学園生活を、送れる筈が無かろう?あんたにも。アーニャお嬢様にも。そして、最近、貴方の周りに付きまとう、そこの女にも!見えない護衛が……。いや、見張りと言うべきか?国王陛下の息のかかった者が、目を光らせているんですよ……。余り、ふざけた事を言っていると、廃嫡されますよ?」

「う、嘘だ!?」

「面倒臭い奴等だなぁ……。馬鹿でも分かる道理を、理解出来ないとは……」

 ジェフィールの顔は、どんどん、青白く成ってゆく。

 俺は、更に、追い打ちとばかりに、

「そこの兄ちゃん、魔法が、得意だったよなぁ?」

「わ、私か!?」

 急に呼ばれて、魔法に関しては、学園随一と呼ばれるネクスが、目を泳がせる。

 俺は、苛立ち気味に、

「そうだよ。あんただよ!精神系呪文で、嘘を見抜く魔法が、有っただろう?俺が許すから、アーニャお嬢様にかけてくれ!ただし!小細工をしたり、身の潔白が証明されたら、それ相応の罰は、覚悟しておけよ?」

 更に一歩……。

 更に一歩と、ジェフィール達を、追い詰める。

 さてと……。

 どうやって、落とし前を、付けてもらおうかなぁ……?


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