ああ、面倒だ……。
「お待ちしておりました♪風のメシアの皆さん♪」
拍子抜けした。
王妃と成るべく、幼少の頃より、厳しい教育を受けて来たと、聞いていたが……。
少し、おっとりとした、リシスの様だ。
ニコニコ笑い、俺の手を握る。
「さあ、図書館へ!」
「は?」
突拍子も無い所は、ジャンヌ似か?
困惑する俺の顔を見て、アーニャは、首を傾げる。
「ジャショウ様。どうかされましたか?」
「い、いや。俺達は、あんたの護衛に……」
「ああ、身分を、気にしておられるのですか?大丈夫です♪先生方にも、話は通してあります!図書館の方は、自由に使って良いと、おっしゃっておりました。さあ!勉学に励みましょう!」
「お、おう……」
俺は、助けを求め、クリフトの方を向く。
クリフトは、ニッコリ笑い、
「ジャショウ様。筆記用具の準備は、出来ております。どうぞ、お嬢様の戯れに、お付合い下さい」
「クリフト。戯れではありません!ジャショウ様は、必ず、人々を導く、光と成りましょう!」
「ふふふ……。そうですね。お嬢様の見識が、外れた事は、ございませんでした。ジャショウ様は、この国を……。ひいては、この世界を、導く人間に、成られるのかと思います」
「そうです!それでは、ジャショウ様方、図書館へと、参りましょう♪」
おいおい……。
何だか、厄介な事に、成ってしまったぞ?
ただの、護衛の筈が……。
やれやれ、この歳で、貴族の遊戯に、付き合う羽目に成るとは……。
面倒だが、良い機会かもしれぬが……。
ああ、やっぱり、面倒だ……。




