まやかしの平和
世界の情勢が、変わりつつある……。
あれほど蔓延していた、瘴気が薄れ。魔物達の侵攻が、単発的なモノに成り、人々は漸く、安堵する事と成った……。
確かに、魔王の力を弱め、瘴気を、多く浄化したが……。
それだけで、魔物が急激に、減ったとは考えられない。
何かの、前触れか……?
エルバート国を始め、オールド帝国、レーザル聖帝国、アズーラ国は、緊張を緩めていないが……。
他国は、駄目だ。
瘴気が薄まり、久々の豊作に、浮足立っている。
魔物の脅威も、薄れつつあり、国交間の交流が、頻繁に行われる様に成った。
悪い事では、無いのだがな。
悪い事では無いが、軽薄すぎる。
完全にストップしていた、貿易の再開。
食料も潤い、飢餓から脱した。
良い事で、有るのだがな……。
未だ、魔王は、滅びておらぬ。
現状、仮初の平和だ。人々は、恐怖を、忘れてしまったのだろうか?
俺は、遥か遠方……。
遥か彼方の、魔王を睨む。
力を、回復させつつある。
何かあったか?
何かあったからこそ、魔王の力が、蘇りつつあると言う事だ。
魔物はともかく、魔族は、馬鹿では無い。
十中八九、良からぬ事を、企んでいると言えるだろう。
恐らく……。
「ジャショウ様!国王陛下が、お呼びに成られております!至急、王城へ!」
白狼亭で、思案していた俺に、丁度良いタイミングで、国王陛下の呼び出しか……。
これは、最悪のシナリオを、話さなくちゃ成らないだろうな……。




