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天翔雲流  作者: NOISE
魔王進軍
1421/1793

閑話 ずっと一緒に……。

「これ、名無しよ!あまり、我から離れると、闇の飲まれるぞ」

「イザナミノミコト様!私も、強く成っているんです!大丈夫ですよ♪」

「愚か者!それを、慢心と言うのだ!それと、わらわの事は、イザナミと呼ぶよう、言っておるだろう」

「はい!えっと……。イザナミ様?」

「様はいらぬ!イザナミと呼べば良い」

「はい、それじゃあ、イザナミ?」

「何じゃ?」

「私は、もっと、強く成りたいです!」

「もう、随分と、強く成ったと、思うがのう……」

「イザナミの事を、守りたいんです!」

「わらわをか?」

 イザナミの頬が、赤く染まる。

 名無しは、ニコニコ笑い、大きく頷く。

 イザナミは、少し思案し、躊躇う様に、名無しに触れ、優しく抱きしめる。

 ゆっくりと、魂と魂が、一つに交わう。

 名無しの体が、一瞬、脈打つ。

「お主の魂から、無限の力を感じる……。しかし、大きく欠けている」

「欠けている……?私には、良く分かりません」

「多くの神を産んだ、わらわが……」

「イザナミが?」

 そこまで言うと、イザナミは、そっぽを向く。

 肩を震わせ、

「お前は、ずっと、わらわの側に居るんだよ!今の魂でも、十分強く成れる!わらわが、お主の魂を、優しく磨いてやる!」

「はい!」

「だから、ずっと、側に居るんだよ!」

「イザナミの側に、私はずっと……」

 そこまで言うと、名無しは、イザナミを優しく抱きしめる。

 驚くイザナミ……。

 名無しは、ニッコリ笑い、

「だから、そんな、寂しそうな顔をしないで下さい!今日は、何処に、冒険に行きましょうか?」

「ふ、ふん!向うの方に、酒で出来た滝がある!わらわは、酒が飲みたい気分じゃ」

「はい♪それじゃあ、行きましょう♪」

 イザナミと名無しは、笑顔で歩き出す。

 もう、イザナミの心にも、不安は無い。

 この少年と一緒に……!

 何時か、日の当たる世界で、こうやって、笑い合う事が、出来るのであろうか……?


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