閑話 ずっと一緒に……。
「これ、名無しよ!あまり、我から離れると、闇の飲まれるぞ」
「イザナミノミコト様!私も、強く成っているんです!大丈夫ですよ♪」
「愚か者!それを、慢心と言うのだ!それと、わらわの事は、イザナミと呼ぶよう、言っておるだろう」
「はい!えっと……。イザナミ様?」
「様はいらぬ!イザナミと呼べば良い」
「はい、それじゃあ、イザナミ?」
「何じゃ?」
「私は、もっと、強く成りたいです!」
「もう、随分と、強く成ったと、思うがのう……」
「イザナミの事を、守りたいんです!」
「わらわをか?」
イザナミの頬が、赤く染まる。
名無しは、ニコニコ笑い、大きく頷く。
イザナミは、少し思案し、躊躇う様に、名無しに触れ、優しく抱きしめる。
ゆっくりと、魂と魂が、一つに交わう。
名無しの体が、一瞬、脈打つ。
「お主の魂から、無限の力を感じる……。しかし、大きく欠けている」
「欠けている……?私には、良く分かりません」
「多くの神を産んだ、わらわが……」
「イザナミが?」
そこまで言うと、イザナミは、そっぽを向く。
肩を震わせ、
「お前は、ずっと、わらわの側に居るんだよ!今の魂でも、十分強く成れる!わらわが、お主の魂を、優しく磨いてやる!」
「はい!」
「だから、ずっと、側に居るんだよ!」
「イザナミの側に、私はずっと……」
そこまで言うと、名無しは、イザナミを優しく抱きしめる。
驚くイザナミ……。
名無しは、ニッコリ笑い、
「だから、そんな、寂しそうな顔をしないで下さい!今日は、何処に、冒険に行きましょうか?」
「ふ、ふん!向うの方に、酒で出来た滝がある!わらわは、酒が飲みたい気分じゃ」
「はい♪それじゃあ、行きましょう♪」
イザナミと名無しは、笑顔で歩き出す。
もう、イザナミの心にも、不安は無い。
この少年と一緒に……!
何時か、日の当たる世界で、こうやって、笑い合う事が、出来るのであろうか……?




