新たな火種
フィリス三世が動く。
暗部を使い、当時の事件の真相を、洗い直したのだ。当然、ロクプは黒。クレカの母が、ロスナー家から、運び出されたのは、多くの者が、見ていたのだからな。その上、ロスナー家からも、密告者が現れた。
ロクプは慌てた……。
慌てて申した事は、
「何か、勘違いが起こり、クナイト殿の妻が、自害したのは事実です。しかし、あれは、事故でして!」
「為らば何故、クナイトの名を貶め、財を奪った?見苦しいぞ、ロクプ!!」
「そ、それは、クナイト殿に、ご息女が居るとは知らず……」
「言い訳に、成っておらん!」
「そ、そうだ!そのご息女を、私が、手厚く保護すると言う事で」
「母親同様、手籠めにする気であろう?」
「それは、誤解と言うモノです!」
見苦しい奴だ……。
俺は、苛立ち気味に、
「おい!さっきから聞いていれば、見苦しい奴だな……。いい加減、罪を認めて、クナイトに代わり、クレカの、果し合いを受けたらどうなんだ?」
「貴様は何だ!?私は、女子供に、剣を向ける様な人間だと思うのか!!」
「あ?向けていたじゃねえか?往来のど真ん中でなぁ……」
「あれは、いきなり斬りかかられ、仕方が無く!」
「兵士に取り押さえさせ、服まで引き裂いてか?」
「そ、それは……」
「母親に似てとか、言っていたよなぁ」
「くっ……」
「もう、ネタは上がっているんだよ!クレカの母の様に、潔く、腹を斬れ!!」
ロクプは俯き、肩を震わす。
次、顔を上げた時、般若の形相に代わり、
「薄汚れていたが……。母親に似て、美しい女だったが……。諦めるとするか。漆黒の風よ!私を怒らせた事を、後悔するなよ?」
「俺の周りの者に、ちょっかい出してみろ?地獄以上の責め苦を、与えてやるぞ?魔王より先に、惨たらしく、殺してやるよ……!」
こいつは、殺しておいた方が良いな……。
イヴとリースと共に、警戒しておくとしようか……。




