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天翔雲流  作者: NOISE
魔王進軍
1410/1794

仮初の平和の中で……。

 ガイア達の事は、フィリス三世達に任せよう。言うて、俺達に、何かが出来ると、思えないしな。

 今日は、ニーナとマヤと、お買い物。の筈だったんだが……。

「師匠♪この服、私に、似合うかしら?」

「お姉ちゃん♪きっとこの服、お姉ちゃんに似合うよ♪」

「マヤちゃん♪お母さんが!何でも好きなモノを、買ってあげよう!」

 勇者パーティーが、勝手に付いて来る。

 俺とラフィーは、顔を見合わせ、米神を押さえる。

 露骨に、嫌な顔をする、ニーナとマヤ。こいつ等、スキンシップが激し過ぎる。

 しかし、それも、目を瞑る事としよう。

 こいつ等は、こいつ等で、必死に頑張っているからなぁ。

 日々、苛烈な訓練をし、魔族を、打ち破っている。

 やる事は、予想以上に、やっているのだ。

 随分と、レベルが上がっている。今の、彼女達なら、今の魔王を、倒す事が出来るだろう。

 既に、支度は整った。しかし、今は、仮初の平和……。戦士達にも、休息は必要だ。

 多少、はっちゃけ過ぎだが……。

 年相応の、無邪気さを見せる、少女達と、言った処か。

 俺達は、大所帯で、街を練り歩く。

 服見てぇ。

 アクセサリーを見てぇ。

 クレープを食べる。

 本当、魔王なんて、居ないんじゃ無いかって、思わせる。

 平和なモノだ……。

 しかし、そんな平和の中でも、

「ちょいと、御免よ!」

 焦った風に、俺にぶつかり、駆け抜けようとする少年。

「ちょっと、待った!」

 俺は、少年の右腕を、軽く捻り上げる。

「いつつつ!?何すんだ!!」

「俺の懐から、財布を取って、良く言うよ」

 少年の、捻り上げられた手から、俺の財布が落ちる。

 俺は、それを拾い、

「今回は、見逃してやるが……。次やったら、容赦しないぞ?」

「うるせえ!馬鹿!!それは、俺が拾った財布だ!自分の物だと言うなら、一割寄こせ!」

「お前なぁ……」

 悪態垂れる少年に、少し、お灸をすえてやった方が、良いだろうか?

 ゆっくり剣を抜き……。

「な、何だ、テメエ!?言い返せないからと言って、俺を斬るって言うのか!?」

「さあ、どうしようかなぁ……」

 怯える少年の前で、俺は、ゆっくり、剣を振りかざす!

斬!

 俺の剣は、少年の衣服だけ斬り、何事も無かった様に、剣をしまう。

 尻もちをつく少年……。

 少年……?

 さらしを巻いているが、膨らみかけた胸。

 余りの出来事に、顔面蒼白。目を見開いた顔は、中性的で……。

 男だったら、美少年……。

 女だったら、美少女と言った処か。

 うん。

 美少女だ……。

 少女は、我に返り、胸元を隠す。

 しかし、それ以上に、隠さないといけない物が……。

 少女の服から大量に落ちた、誰の物とも分からぬ、財布の山。

 周りの者達が、ざわつき始める。

 少女は、目頭に涙を溜めて、さっきとは、打って変わって、真っ赤な顔で、

「畜生!覚えていろぉ!!」

 啖呵を切って、走り去ってしまった。

 やれやれ……。

 何だったんだ?一体……。


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