平安を打ち破る知らせ……!
白狼亭に顔を出し、王城へ……。
謁見の間……。
「ジャショウよ。此度も、誠に大儀であった。お主こそ、誠の勇者であるな」
「いえ。私は、ただの冒険者です。それ以下でも、それ以上でもありません」
「そうであるか……。しかし!誠に、誠に大儀であった!お主が居なければ、世界は、破滅していたであろう」
フィリス三世は、玉座から降り、俺を、強く抱きしめる。
大袈裟だと、言い切れぬが……。
「過分な評価、誠に、感謝します」
「過分なモノか!お主こそ、世界を浄化する、漆黒の風よ!」
一国の王に、ここまで評価されると、流石の俺も、照れるじゃ無いか。
フィリス三世の後ろでは、フィナとカミーユが、ニコニコ笑っている。久しく、会っていなかったか。
フィナは元より、カミーユも、少し大人びて、美しく成ったものだ。
フィリス三世を、優しく立たせ、
「まだ、魔王は、滅びておりませぬ。涙を流すのは、その後で……」
「うむ。歳を取ると、涙もろく成って仕方が無い。ジャショウよ!今後のお主の働きに、期待しておるぞ!」
「はっ!」
さて……。
働きと言っても、ここから先は、ポメット達の仕事だ。人の業は、人が、償わなくては成らない。
さて、お膳立ては済んだ。ここから先、俺達は、見守る者として、一歩下がった処で、人々の進化を、見守る事としよう……。
「ジャショウ様。ささやかですけど、庭で、お茶会を」
「ジャショウ!剣の稽古だ!今日は、一本取って見せるぞ!」
この王族は、まだまだ、帰してくれそうも無いな。
カミーユと、庭で稽古をし。その後、お茶会を楽しんだ。慣れたモノだが、ガラじゃ無いな。
そんな、和やかムードの最中、伝令が、血相を変えて、駆け込んで来る。
「急報!アズーラ国、勇者と聖女を旗印に、魔王領に再度進軍!」
「何!?」
フィリス三世は、憤怒の顔で、その場に立ち上がる。ポメット達は、今、エネッサに滞在中の筈だ。勇者とは誰だ?聖女とは?
伝令は、息を整え、
「勇者は、追放した、ガイアが名乗り。聖女は、あの偽聖女、アメラの様です!如何、致しましょうか?」
「どうもこうも無い!静観だ!また、魔族が、溢れかえるやもしれぬ!諸国に、伝令を発せ!」
「はっ!」
やってくれる……。
確かに、魔王は、弱体化したが、人の手には余る。
魔族も、凶暴化している……。
アズーラ。少し、軽薄すぎるぞ……。




