人の情
久方ぶりに、エネッサの街に戻る。
先ずは、クルセット教会か。
教会に入ると、
「ジャショウ君!」
トリナが、涙を流し、俺を抱きしめる。
ははは……。
恥ずかしいじゃ無いか……。
トリナの声に、子供達が、集まって来る。
「ジャショウお兄ちゃん!」
「やっぱり、無事だった!」
「あっ!あう!ジャショ!!」
最年少の、幼子を抱き上げ、
「心配かけたな……。報酬、一杯貰ったから、皆で、美味い物を食おうな♪」
「「「わ~い♪」」」
ああ……。
子供は、癒されるなぁ……。
俺は、買い込んだ食料を取り出し、台所に立つ。
トリナと一緒に、夕食の仕度。
その間も、子供達は、俺の側を離れようとはせず、
「ジャショウ!今日は一緒に、ねんねしよう♪」
「違うの!私とねんねするの!」
「僕、お話し、一杯聞きたい!」
可愛い子達だ。
子供達の、頭を撫で、
「今日は、皆一緒に、寝るとしようか?冒険の話も、一杯してやるよ♪」
無邪気に笑う、子供達。
料理が出来て、食卓を囲む。
俺は、小さな子供の、食事の手伝いを。
「あっ!あう!あう!」
「これが、食べたいのかい?じゃあ、お口を開けて、もぐもぐしような」
「きゃう♪」
育ち盛りの子供達。よく食べるなぁ。
もぐもぐもぐ……。
もぐもぐもぐ……。
もぐもぐもぐ……。
子供達は、元気よく、
「「「おかわり♪」」」
「ああ、沢山作ったから、一杯食べな」
ふぅ……。
この子達とも、一年後には、別れなくては成らないのか……。
そう思うと、切ないな……。
人の情とは、かくも、人を、束縛するモノなのか……。




