ある意味、暴走
訓練場が、騒がしい……。
何かあったか?
イーラの、ヒステリックな叫び声。
何事だ?
訓練場に駆けつけると、ニーナとイーラが、対峙していた。
涙目のイーラ……。
ニーナを鋭く睨み、
「あんたは、何時もそう!余裕そうな顔をして、何時も、私達の、上に立って!!」
「別に私は、貴方達に、興味無い……」
「そう言う所よ!母様も私も、お父様に認められようと、必死に頑張って!それなのに!お父様は、何時も、貴方ばっかり!!」
「違う……。お父様は、貴方達の事も、ちゃんと愛していた」
「そう言う、上から目線な処が、気に入らないのよ!!」
姉妹喧嘩か?
その上、その横では、
「マヤちゃん!君のお父様との恋愛を、許して欲しい!!」
「はい?母様は、もう、他界していますし……。そう言う事は、父様と……」
「君にも、認めてもらいたいんだ!!」
マヤは困惑し、ファスナは、暴走しておる。
ラフィーは、米神を押さえ、
「貴方達、いい加減にしなさい!!」
おお!
勇者パーティーのブレーン!
矛を、収めさせるか?
しかし……。
「「貴方は、黙っていて!!」」
駄目ですか……。
イーラとファスナの暴走は、誰にも止められない。
ファスナは、嫌がるマヤを抱きしめ、
「お母さんと、呼んでも良いんだぞ!!」
「いえ、結構です!」
イーラも、ヒステリックに、
「お姉ちゃんは、全部持ってるじゃない!少しぐらい、私に分けてよ!!」
「勝手な事を、言わないで欲しい……。私を、家から追い出したのは、貴方達……。私は、ジャショウ達と強く成る……!邪魔をしないで……!」
「私達から逃げたのは、お姉ちゃんでしょう!私はずっと!ずっと……。お姉ちゃんに認められたくて……!」
イーラは、その場で、泣き崩れる……。
面倒な……。
家族間の愛憎で、イーラは、少々、混乱している様だ。父親を、姉に奪われた憎しみ。それとは別に、姉を愛する心。二つの想いが、彼女の心を、不安定にさせている。
そして、マヤの方は、ただただ、ファスナの暴走……。
ログナールを、心から愛し、その想いを、娘であるマヤに、認めてもらいたいのだ。
ただし、まだ、片思いらしいが……。
告白する順序が、逆では無いだろうか?
ニーナとマヤは、俺に気付き、俺の後ろに隠れる。
うん……。
厄介事を、押し付けないでくれ……。
この状況を、どう、収拾つけろと言うのだ?情緒不安定な少女に、発情した雌。俺は、関係無いだろう?
一同の目線が、俺に集中する。
ふざけているのか?こんな状況、俺に、どうしろと言うのだ……?




