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天翔雲流  作者: NOISE
魔王進軍
1384/1794

暴走の結末

 第二次、勇者候補生選考……。

 最早、失敗は許されない。

 今回は、万全の体制で、候補生選考に臨む。

 本物の、聖女である、フィナとターナが、誠の理を説き、黄金の魂を持つ勇者を、探すと言うのだ。

 再び、千名以上の、少年少女が、集められる。

 フィナとターナが、心の目で、魂を測り、再び、百名の、勇者候補生が集まる。

 ギーラ教会の、介入は許されない。

 と言うより、あそこは、もうダメだ。

 魔族に荒らされた領内……。

 嘘で塗り固められた栄光……。

 ジョセフ司教は、獄に繋がれ。偽聖女は、追放された……。

 その上……。

「あの、偽勇者の居場所が、見つかりました!」

 兵が、肩で息をしながら、フィリス三世に、報告する。

 どうやら、ギーラ教会が、匿っていた様だ。

 未だ、神剣は、ガイアの腕の中……。

 ギーラ領は、あっと言う間に、エルバート国を含む三国に、包囲される。

 前代未聞の事態である。

 至高神、ネガレカを祀る、総本山。

 矛を向けるなど、有っては成らない事だ。

 しかし、そんな事を言っている、場合じゃ無い。

 魔王に対抗するには、人間の力では、神剣が、必要に成るからだ。

 それに、ギーラ教会の威光は、失墜している。

 偽勇者を建て、偽勇者を匿うとは、余りに、愚かな行為だった。

 ギーラ教会、最後の抵抗。

 三国の行動を、悪逆な暴走とし、諸外国に、救援を求む。

 されど、虚しい囀り……。

 多くの国々は、活発に活動する、魔族の対応に追われ、相手になどしなかった。

 それどころか、真なる勇者の誕生を、妨げているとして、激しく、糾弾された。

 ギーラ教会のおこなって来た事こそ、暴走であると。

 こうして、全てを求めたギーラ教会は、全てを失った……。

 そして、エルバート国、謁見の間……。

「それは、俺の剣だ!俺が勇者だ!勇者なんだぁ!!」

 ガイアが、喚き散らしている。

 神剣は、漸く、エルバートに戻った。

 再び、台座に封印され、誠の主を、待ち続ける事と成る。

 謁見の間で、拘束されても尚、半狂乱に成って、喚き続けるガイア……。

 フィリス三世は、嘆息を漏らす。

「ガイアよ……。何故、そこまで、勇者に執着する?ギーラ教会の荒行の時も、他の候補生を囮にし、お前は、最後まで、魔物達から逃げていたと言うでは無いか。魔物に怯えるお前が、何故、勇者に固執する?」

「ああ?俺が、特別だからだ!特別な、人間だからだ!俺を捨てた親にも、俺を嫌っていたガキにも、思い知らせてやるんだ!!俺が、どれ程素晴しい人間か!俺と同じ場所にいる事が、どれだけ素晴らしい事か!理解させてやるんだよ!!」

「お前の様な人間が、特別な訳が無かろう……」

「ああ?俺は、勇者だぞ!!」

「哀れな男だな……」

 フィリス三世が、右手を振るう。

 それに伴い、騎士達が、ガイアを取り押さえる。

 殺されずとも、最早、奴には、帰る場所も無い……。

 ガイアは、般若の形相で、

「剣を返せ!俺を、自由にしろぉ!!」

 フィリス三世の言う通り、哀れな男だ……。

 親に捨てられ、クルセット教会に馴染めず、心を、歪ませてしまった……。

 アイツ一人の、罪じゃ無い……。

 故に、フィリス三世も、ガイアの命は取らず、国外追放と言う形で、話をまとめた。

 奴はこの先、どう、生きていくのかなぁ……。


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