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天翔雲流  作者: NOISE
魔王進軍
1382/1794

甘い夢……。

 あの馬鹿は、どうにかならないのか?

 謁見の間から聞こえる、喚き声。

 俺は、ニーナとマヤと、ため息をつく。

 昨日の事で、ガイアは、イシュタナに、お叱りを受けた様だ。

 それで、逆ギレ。

 アイツ、大丈夫かぁ?

 一国の王に、暴言の数々……。

 イシュタナは、必死に、ガイアを育てようとしたのに……。

 他の国に、見限られていると言うのに。

 都合よく、自分を利用しただの。

 脅威が去って、自分を捨てるだのと、のたまっておる。

 阿呆か?

 イシュタナは、遂にはキレて、昨日以上の、怒鳴り声が、響き渡る。

 ガイアの声は、どんどん小さく成り、遂には、聞こえなくなる。

 逆に、イシュタナの罵声は、何時までも止まない。

 温厚な人がキレると、怖いんだよなぁ。

 謁見の間からは、

「お望み通り、捨ててやる!何処へなりとも、消えるが良い!!」

 ニーナがボソッと、

「ガイア、終了……」

 ですよねぇ……。

 ガイアの、弱弱しい反論が、二言三言。

 だが、イシュタナの怒りの前には、何の意味もなさない。

 騎士によって、謁見の間から、ガイアが、引きずり出される。

 次は、何処へ行くのやら?

 ガイアは、泣き腫らした目で、神剣だけは、離すまいと、必死に抱きしめている。

 彼の、唯一の、アイデンティティーだがらなぁ。

 勇者なんて、一見、勝ち組だが、死と隣り合わせの、生贄の様なモノだ……。

 ガイアは、甘い夢を、見過ぎた。

 ここが、踏ん張り時だ。

 謙虚に成って、武功を積むか。

 はたまた、神剣を返上し、勇者と言う責務から逃げるのか。

 もう、誰も、文句は言わない筈だ。

 奴に、勇者と言う責務は、荷が重すぎる。

 その荷を抱えたまま、どん底まで、堕ちるつもりか?

 今なら、まだ、間に合う。

 全てを、ギーラ教会の咎とし、被害者に、成る事も出来る。

 ガイアよ……。

 早く、その甘い夢から、目を覚ませ。

 でなけりゃ、本当に、地獄に堕ちる事と成るぞ……?


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