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天翔雲流  作者: NOISE
魔王進軍
1381/1794

無作法者

 盛大なパーティーが開かれる……。

 今まで、魔族の脅威に、悩まされていたのだ。その恐怖から解放され、羽目も外そう。

 あの戦いに参加した、王侯貴族、名だたる騎士は、代わる代わる、俺の下へとやって来て、賛美する。

 何と言うか、背中が、痒くなる。

 俺に、娘を、紹介する者まで……。

 ニーナとマヤが、ブロックしてくれる。

 良い子達だなぁ……。

 元の世界に、お持ち帰りたい!

 はぁ……。

 余り、煌びやかな処は、生に合わないのだがなぁ……。

 見た事の無い、料理の数々……。

 出席者達は、蝶の様に、美しく舞う。

 俺は、ふぅっと一息、席に就く。

 ターナが、心配そうに、

「ジャショウ様……。大丈夫ですか?」

 気に掛けてくれるのか?

 俺は、苦笑を零し、

「どうも、私は、こう言う明るい場は、苦手でして……」

「ふふふ……。ジャショウ様にも、苦手なモノが、有ったのですね?」

「そりゃあもう、苦手なモノばかりですよ!肩っ苦しいのは、大嫌いだし。偉い人と会うのも、大嫌いです!」

「ふふふ……。可笑しい。それじゃあ、私と話すのも、お嫌ですか……?」

 ターナは、不安そうな顔をする。

 そう言う顔も、苦手なんだよなぁ。

 俺は、お道化て見せて、

「嫌そうに見えますか?」

「いえ!その……。余り……」

「そう言う事です。ターナ様と話すと、世界が広がる様で、楽しいですよ」

「あの、その……。私も、ジャショウ様と話す事が、大好きです……」

「それは良かった♪一方的に、喋っていたんじゃ、寂しいですからね」

「はい……」

 そんな、煌びやかな世界……。

 無作法者が、場の空気もわきまえず、堂々と現る。

 扉を、力任せに開け、魔物の血で汚れた勇者が、憤然と、イシュタナの前に、

「勇者、ガイア!魔物に脅かされていた村を守り、見事、魔物を駆逐し、ただ今戻りました!」

 皆、胡散臭そうな顔で、ガイアを見ている。

 遅れて、ガイアのお守だろう、三人の男が、呆れた顔で、ガイアの後ろで、イシュタナに向かって、拝礼する。

 イシュタナは、ニコニコ笑い、

「そうかい?よく頑張ったね。報告は、後日、改めて聞く。勇者殿は、ゆっくり休みなさい」

「それだけですか?私は、レーザル聖帝国の為に!」

 ガイアは、場もわきまえず、イシュタナを睨み、周りの貴族を睨み、憤怒の顔で、大声で騒ぐ。

 阿呆ですなぁ……。

 イシュタナは、無表情に成り、

「我が国の為……?魔王軍四天王が、王都まで攻めて来たと言うのに、君は、何処に居たのかなぁ?何故、勝手に、戦線を離脱した?」

「そ、それは……。確かに、戦線を離脱したのは、恥ずべき事かも知れません!しかし、勇者として、小さな村であれ、苦しむ民を、放っておけなかったのです!」

「我が国にも、冒険者が居る!君が戦うべきは、あの場に留まり、先陣を切って、魔王軍四天王を、倒すべきだっただろう!」

 へぇ……。

 イシュタナも、怒る時は、怒るんだなぁ。

 唇を噛みしめ、身を震わすガイア。

 イシュタナは、冷酷に、

「もう良い!下がれ!」

 ガイアは、屈辱に、顔を真っ赤に染め、踵を返す。

 一瞬、俺と目が合い、憤怒の顔に変わり、荒々しい足取りで、パーティー会場を、後にした……。

 しかし、ガイアのお守は、その場に残る。

 イシュタナは、何時もの笑顔に戻り、

「君達には、苦労を掛けるねぇ。実際の処は、どうだったんだい?」

 お守り達は、ため息をつく。

 呆れた顔で、

「失礼ですが、とてもじゃ無いが、あの少年が、勇者だとは思えません!」

「村が、魔族の脅かされていた?それどころか、上手く、共存していましたよ!村の側に居たのは、年老いたゴブリン達でした……」

「害獣から、村の家畜を、守っていた様です。その代わりに、村人達は、そのゴブリン達に、施しをしていた様です。あの馬鹿……。失礼!あの勇者は、それだと言うのに、無抵抗なゴブリンを、嬉々として殺し、村人達の怒りを買い、命からがら、逃げて帰って来たと言う訳です」

 お守りの報告に、皆、眉を顰める。

 イシュタナも、ため息をつき、

「そうか……。私も、彼を、自由にさせ過ぎたかな……?君達には、苦労を掛けるが、引き続き、勇者君の監視を……。今回の様な事があったら、遠慮せず、腕の一本や二本折っても良いから、止めてやってくれ!」

「「「はっ!!」」」

 はぁ……。

 胸糞悪い……。

 ガイルの言う通り、神剣奪って、殺してしまった方が、良いのかもしれないな……。


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