無作法者
盛大なパーティーが開かれる……。
今まで、魔族の脅威に、悩まされていたのだ。その恐怖から解放され、羽目も外そう。
あの戦いに参加した、王侯貴族、名だたる騎士は、代わる代わる、俺の下へとやって来て、賛美する。
何と言うか、背中が、痒くなる。
俺に、娘を、紹介する者まで……。
ニーナとマヤが、ブロックしてくれる。
良い子達だなぁ……。
元の世界に、お持ち帰りたい!
はぁ……。
余り、煌びやかな処は、生に合わないのだがなぁ……。
見た事の無い、料理の数々……。
出席者達は、蝶の様に、美しく舞う。
俺は、ふぅっと一息、席に就く。
ターナが、心配そうに、
「ジャショウ様……。大丈夫ですか?」
気に掛けてくれるのか?
俺は、苦笑を零し、
「どうも、私は、こう言う明るい場は、苦手でして……」
「ふふふ……。ジャショウ様にも、苦手なモノが、有ったのですね?」
「そりゃあもう、苦手なモノばかりですよ!肩っ苦しいのは、大嫌いだし。偉い人と会うのも、大嫌いです!」
「ふふふ……。可笑しい。それじゃあ、私と話すのも、お嫌ですか……?」
ターナは、不安そうな顔をする。
そう言う顔も、苦手なんだよなぁ。
俺は、お道化て見せて、
「嫌そうに見えますか?」
「いえ!その……。余り……」
「そう言う事です。ターナ様と話すと、世界が広がる様で、楽しいですよ」
「あの、その……。私も、ジャショウ様と話す事が、大好きです……」
「それは良かった♪一方的に、喋っていたんじゃ、寂しいですからね」
「はい……」
そんな、煌びやかな世界……。
無作法者が、場の空気もわきまえず、堂々と現る。
扉を、力任せに開け、魔物の血で汚れた勇者が、憤然と、イシュタナの前に、
「勇者、ガイア!魔物に脅かされていた村を守り、見事、魔物を駆逐し、ただ今戻りました!」
皆、胡散臭そうな顔で、ガイアを見ている。
遅れて、ガイアのお守だろう、三人の男が、呆れた顔で、ガイアの後ろで、イシュタナに向かって、拝礼する。
イシュタナは、ニコニコ笑い、
「そうかい?よく頑張ったね。報告は、後日、改めて聞く。勇者殿は、ゆっくり休みなさい」
「それだけですか?私は、レーザル聖帝国の為に!」
ガイアは、場もわきまえず、イシュタナを睨み、周りの貴族を睨み、憤怒の顔で、大声で騒ぐ。
阿呆ですなぁ……。
イシュタナは、無表情に成り、
「我が国の為……?魔王軍四天王が、王都まで攻めて来たと言うのに、君は、何処に居たのかなぁ?何故、勝手に、戦線を離脱した?」
「そ、それは……。確かに、戦線を離脱したのは、恥ずべき事かも知れません!しかし、勇者として、小さな村であれ、苦しむ民を、放っておけなかったのです!」
「我が国にも、冒険者が居る!君が戦うべきは、あの場に留まり、先陣を切って、魔王軍四天王を、倒すべきだっただろう!」
へぇ……。
イシュタナも、怒る時は、怒るんだなぁ。
唇を噛みしめ、身を震わすガイア。
イシュタナは、冷酷に、
「もう良い!下がれ!」
ガイアは、屈辱に、顔を真っ赤に染め、踵を返す。
一瞬、俺と目が合い、憤怒の顔に変わり、荒々しい足取りで、パーティー会場を、後にした……。
しかし、ガイアのお守は、その場に残る。
イシュタナは、何時もの笑顔に戻り、
「君達には、苦労を掛けるねぇ。実際の処は、どうだったんだい?」
お守り達は、ため息をつく。
呆れた顔で、
「失礼ですが、とてもじゃ無いが、あの少年が、勇者だとは思えません!」
「村が、魔族の脅かされていた?それどころか、上手く、共存していましたよ!村の側に居たのは、年老いたゴブリン達でした……」
「害獣から、村の家畜を、守っていた様です。その代わりに、村人達は、そのゴブリン達に、施しをしていた様です。あの馬鹿……。失礼!あの勇者は、それだと言うのに、無抵抗なゴブリンを、嬉々として殺し、村人達の怒りを買い、命からがら、逃げて帰って来たと言う訳です」
お守りの報告に、皆、眉を顰める。
イシュタナも、ため息をつき、
「そうか……。私も、彼を、自由にさせ過ぎたかな……?君達には、苦労を掛けるが、引き続き、勇者君の監視を……。今回の様な事があったら、遠慮せず、腕の一本や二本折っても良いから、止めてやってくれ!」
「「「はっ!!」」」
はぁ……。
胸糞悪い……。
ガイルの言う通り、神剣奪って、殺してしまった方が、良いのかもしれないな……。




