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天翔雲流  作者: NOISE
魔王進軍
1372/1794

世界存亡の為に……。

 また、一大事が起こる。

 雲隠れしていた、ギーラ教会司教、ジョセフが、捕縛されたのだ。

 それに伴い、前回の大戦。風のイシュノヴァとの戦いの真相が、各国の重鎮達の耳にも届く。

 そして今日……。

 俺は、王宮へと呼ばれた……。

 面倒臭い。

 騎士に先導され、一室に……。

 フィリス三世を始め、各国の重鎮であろう者達が、円卓を囲み、座っている。

 フィリス三世は、柔和な笑みを浮かべ、

「ジャショウよ。良くぞ参った!その席へと座りなさい」

「いえ……。王の御前で、座る訳にはいきませぬ……」

「構わぬ、座れ!」

「はっ!畏まりました……」

 俺は、一つの席へと座る。

 囁く者達……。

「また、子供か……」

「我等は、欺かれているのでは無いか?」

 どうやら、前回の戦いの事らしい。

 猜疑心を隠さず、俺を睨む者達。

 しかし、

「黙らぬか!!」

 一人の男が、一喝する!

 この者は、誰だ?

 場が、静寂に包まれる。

 男は、他の者達を、ぎろりと睨み、

「この少年の、内なる力に、気付く事も出来ないのか?前線で、魔族と闘う、儂の目には、異質……。計り知れぬ、力を感じたぞ!フィリス三世よ!何故!この様な勇者を、隠していたのだ?」

「ふふふ……。ガイル殿の目は、誤魔化せませんなぁ……。流石、ただ一国、魔族の侵攻を、防ぎきっている事だけはある!それから、別に、隠していた訳でありませぬ。ギーラ教会が、暴走し、勝手に、聖女と勇者を建てた……。そして、我が国に伝わる、神剣を奪い、皆様は、それを、肯定したでは無いですか。我が国は我が国で、騎士と同様に、冒険者を育て、魔族と、対抗し様としたにすぎぬ!」

「そうであるが……!」

 ガイルは、歯を食いしばり、拳を、机に叩き付ける!

 フィリス三世は、涼やかな顔で、

「そもそも、勇者とて、まだ、十四歳の少年……。ギーラ教会の聖女の予言に従い、我が国が、必死に育てていたと言うのに、虐待だとか言い、まともな訓練を、受けさせなかったのは、貴方方の意思ではありませんか?幾ら、神剣を手にした所で、子供は子供!皆様こそ、冷静な判断が、出来ていないのでは、無いのかのう?」

「聞かせて欲しい……」

「何をですかな?」

「本当の、神託をだ?」

「儂が、知る訳無いでしょう?ギーラ教会の聖女にでも、聞けばよろしかろう」

「あの者が、偽物だと言う事は、既に、周知の事実だ!そこもとの娘……。フィナ姫が、誠の聖女だと言う事も!ここにいる一同、頭を下げる!世界の危機なのだ!頼むから、教えてくれ!!」

 ガイルと言う男は、実直な男だ。

 悪い匂いもしない。

 ガイル以外の、各国の王達も、ガイルが、頭を下げている間、後ろに控えさせていた、護衛の騎士達に、俺の力を、聞かされた様だ。

 底の見えぬ狂気……!

 騎士達は、青白い顔をしている。

 そして、ガイルに習い、他の王達も、必死に頭を下げる。

 フィリス三世は、ふぅっと息を吐き。

「金色の勇者現れ、神剣を握り、数多の魔物を倒し、魔王と対峙する。しかし、敗れ去った時、漆黒の風が、世界を浄化する。これが、本当の、神託だ……。勇者が、魔王を倒せれば良し!しかし、倒せなかったとしても、漆黒の風が、世界を救ってくれるのだろう。儂は、この少年にこそ、期待をかけている。故に、堕落した勇者の様に、使い潰されては、困るのだ!」

 一同が、俺に注目する。

 俺は、かったるそうに、

「発言させて頂きます!私は、漆黒の風などではありません!故に、過度な期待は、ご遠慮願いたい!そもそも、魔族が本気に成れば、人間など、あっと言う間に、滅ぼされる事は、前回の戦いで、理解した筈です。本来、勇者をしっかり育てれば、魔王に、対抗出来た筈です!それを、こんな状況に成っても尚、己の利を求めた、皆様に、多くの問題がありましょう……。世界の存亡を望むなら、今一度、勇者を鍛え直し、事に当たるべきかと」

「うむ……。ジャショウの言う事は、最もであるな……。我が国は、勇者を、必死に育てようとした!しかし、それに横槍を入れたのは、貴方方だ!荒療法であるが、勇者に旅をさせ、鍛え直す事の方が、現実的で有ろう」

「それでは、オールド帝国は、滅びてしまう!!」

 ガイルは、髪を逆立て、勢いよく立ち上がる。

 随分、切羽詰まった状況なんだなぁ……。

 この円卓会議が、人類の存亡を、決定する、重要な会議である事は、分かっているが……。

 ガキに、命運を託さず、大人の意地と言うモノを、見せて見ろよ……。


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